コラム
2021.12.08
[ 鎮 勝也 ]
スポーツトレーナーとはなにか?
選手のパフォーマンスを引き出す。そのため、技術指導、健康管理、ケガの予防、リハビリなどを行う。
その領域で青雲の志に燃える。梯誠剛(かけはし・せいごう)。28歳。福岡の久留米を拠点に活動する。目じりを下げ、夢を語る。
「田舎の公立の競技が強くない小学校や中学校でも、トレーナーがいるのが当たり前の社会が作りだせたらいいなあ、と思っています。
梯はラグビーと硬式野球の2つで高校生を指導する。ラグビーは浮羽究真館。この福岡の県立校には平日の朝に出向く。硬式野球は藤蔭。春夏通算4回の甲子園出場がある。大分・日田(ひた)にある私立校には基本的に週末に通う。
浮羽究真館はうきは市にある。久留米と日田の間だ。そこで始業前の1時間、ウエイトトレーニングを教える。ラグビー部監督は吉瀬(きちぜ)晋太郎。保健・体育教員でもあり、OBでもある。梯の評価は高い。
「こちらのリクエストに応えるだけではなく、試合を見たら、こういう部分が足りないと思うので、こうしたいのですが、という感じで主体的にコミットしてもらえています」
吉瀬は梯の8つ上、36歳。現役時代はセンター。京産大ではスクラムハーフの田中史朗と同期だった。田中はキヤノンからNECに移籍、日本代表キャップは75を数える。
吉瀬が赴任して7年目。この秋の101回全国大会予選は8強戦で筑紫に0−59で敗れた。記念大会で2校が出場した昨年は4強、一昨年は8強と県立の無名校は着実に力をつけている。梯の力も小さくはない。吉瀬の2年目の2016年、「熱い先生がいる」と聞き、押しかけトレーナーになった。
「ラグビーはフィットネスが中心なので、やったことがすぐに出ます。やりがいはありますね。野球はメンタルとスキルです」
楕円球と白球。ボールの大小や激突のあるなしなど競技特性によって、当然ながらトレーニングは違ってくる。
自身は野球出身。小3から始め、高校は大宰府にある筑陽学園に進んだ。二塁や遊撃を任される。同校のNPBの現役選手としては広島の外野手、長野(ちょうの)久義や日本ハムの右腕、谷川昌希がいる。谷川は梯の1学年上。毎年、春季キャンプ前の自主トレにはトレーナーとして声をかけてくれている。
進学した久留米大の経済学部には、トレーナーになれるカリキュラムが組まれていた。卒業と同時に日田にある五反田病院に職員として採用された。2つの高校での活動は認められている。取得済みの資格は2つ。日本スポーツ協会認定のアスレチックトレーナーと医療と連動し、個人の健康づくりを推し進める健康運動指導士である。
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