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子ども4人が東大合格・佐藤ママが教える「入試直前の保護者サポート」

師走になると、いよいよ大学入学共通テストまで1カ月余り。

一般選抜の出願から入試本番まで、大学受験シーズンのラストスパート!

合格に向けて全力で取り組んでいる子どもをサポートしたいけれど、自分に何ができるのかわからない、という保護者は少なくないでしょう。

そこで、4人の子ども全員を東大理Ⅲ合格へと導いた佐藤亮子さんは、入試直前にどのような保護者サポートをされていたのか、お話をうかがってみました。

全部を真似できなくても、ひとつでも、子どもに何かしてあげられたら、大きな力添えになるかもしれません。

お話をうかがったのは

佐藤亮子さん佐藤亮子さん

大分県内の私立高校で英語教師として勤務。結婚後、夫の勤務先の奈良県に移り、専業主婦に。

長男・次男・三男は灘中学校・灘高等学校を経て、東京大学理科Ⅲ類に進学。長女は洛南中学・高等学校を経て、東京大学理科Ⅲ類に進学。現在、長男・次男・三男は医師として活躍。長女は東大医学部の学生。

その育児法、教育法に注目が集まり、全国で講演を行う。著書『志望校に一発合格する過去問攻略法』(光文社)。

遠慮は不要! 勉強・生活・入試で最大限のサポートを!

入試本番が近づいてくると、ピリピリする子どもにどう接していいか悩んでしまう保護者は多いでしょう。

できるだけのサポートをしたいけれど、余計なお節介だと迷惑がられないか、かえって逆効果にならないか、不安だらけではないでしょうか。

しかし、「入試直前ともなれば遠慮している時間はありません。子どもに伴走して最大限のサポートをしましょう」と佐藤さんは言います。

実際にどんなサポートをされていたのか、勉強面・生活面・入試に関して、それぞれ詳しく教えていただきました。

【勉強面】で保護者ができるサポート

Idea.1 問題を解くことだけに集中させる

問題を解くことだけに集中させる

「入試直前になると、子どもは『問題を解いて正しい答えを出す』ことが最も重要なので、あとのことはすべて保護者が喜んで進んでやるという心づもりでいました。

例えば、大学入学共通テスト対策として、旧センター試験の過去問題を解く場合、解答がマークシート方式なので、答えはすべて数字。これの採点がかなり面倒なのです。だから、保護者が採点すれば相当時間の節約になります。

赤本の過去問題は分厚くて扱いにくいから、1年分ごとに分解して製本し、使いやすくするといいですね。わが家の子どもたちは、今でもこの製本に『あれは、ありがたかったな~』と言っています。

リスニング問題のCDの操作も手伝いました。子どもの横で私が時間を計りながらCDを操作するのですが、これが意外と難しく、適当なところでストップできないのです。子どもがリスニングだけに集中できるよう、ぜひ保護者が手伝ってほしいですね。そのような保護者の態度が、本当の応援になりますから」

(佐藤さん)

過去問題の採点やCDの操作など、些細なことでも、実は勉強時間をロスしたり、集中力を削ぐことになっているかもしれません。

保護者が代わりにできそうな雑用的なことがあれば、率先して手伝ってみましょう。

Idea.2 勉強しやすい環境作りをする

「子どもを育てるための2大要素は『習慣』と『環境』作りです。

しかし、受験がせまってくると、習慣作りなどと悠長なことをいっている時期ではないので、保護者はとにかく『環境を整える』ことを頑張ってほしいと思います。

私の場合は、とにかく受験生の邪魔をしないように、テレビなどは見ない、音楽も流さない、余計な声かけはしないようにしていました。子どもが勉強している時には、後ろから『頑張ってね』と言いたいものですが、もう子どもは頑張っているから、その言葉は不要だと思うのです。

子どもが家で勉強しているから、邪魔をしないようにママ友とランチに出かける話も聞きますが、私は全く出かけませんでした。家族全員で応援しているという雰囲気、空気感が大事ですから、家族も娯楽らしきものは少し控える配慮をすると、一体感が生まれると思いませんか?

家族のなかで自分ひとりだけが受験のために頑張っているという孤独を感じてしまわないよう、細かく気を遣っていました

(佐藤さん)

例えば、リビングで子どもが勉強している時に保護者が横でテレビを見ていたらイラッとくる子どももいれば、家族全員で気を遣って静かにされると逆にやりにくいという子どももいるかもしれません。

子どもにとって最も勉強しやすい環境を整えることで、家族全員で応援している雰囲気作りができるとよいですね。

長い受験シーズンを伴走するためには、家族が無理しすぎないことも大切かもしれません。

Idea.3 子どもにかける言葉に気を配る

子どもにかける言葉に気を配る

「入試直前になると、合否がすぐそこにせまっていますから、子どもは精神的につらくなっています。そもそも言葉の力は大きいので、かける言葉は気をつけて選ぶようにしていました。

意識的に避けていたのは、『苦手な項目はなくなったの?』『この前の模試の判定がイマイチだったから頑張らないとね』など、過去のことを持ち出すような言い方、『〇〇君は夜遅くまで頑張っているらしいよ』など、友達と比べるような言い方です。

『あなたなら合格するわよ』『まあ、このままで大丈夫よ』なども、状況次第では気休めに聞こえてしまうので、注意していました。保護者がいいと思って気楽に言ってしまった言葉でも、時に受験生を追いつめてしまうこともあると思います。

私が大事にしていたのは、子どものありのままの状態を認めてあげること。『寒いから暖かくしてね』『よく頑張っいるよね』『しっかり寝ることはいいことだよね』など、子どもの今の状態を認めつつ、何気なく肯定するような言い方を心掛けていました

(佐藤さん)

子どもにもっと頑張ってほしい、叱咤激励のつもりでかけた言葉でも、場合によっては逆効果になってしまうことも…。

受験生はこの時期すでに十分頑張っていますから、まずはその頑張りを認めてあげることが大切なようです。

さりげなく肯定してあげることで、子どもが安心感や自信を持てるような言い方を工夫してみてください。

【毎日の生活】で保護者ができるサポート

Idea.4 身体を温めながらリラックス

「寒い季節ですから、身体を温めるには、なんといってもお風呂がおすすめです。我が家では、シャワーではなく、湯船にしっかり肩までつかるようにさせていました。

また、バスタイムを楽しくするために、私は多種類の入浴剤を揃えました。いい香りがすると、のんびりするし、受験生活の癒しの時間になりますね。シャンプーやコンディショナーは、いつもより少し高価なものにすると、娘は大喜びでしたよ。

お風呂は短時間ですが、心身ともに疲れが取れてモチベーションも上がります。

あとは、身体の中から温まるので、食事はシチューや鍋料理がおすすめです

(佐藤さん)

入試当日にインフルエンザにかかって受験できなくなってしまったり、体調を崩して実力を発揮できなかった、ということにならないよう、普段の生活からサポートしてあげたいですね。

Idea.5 食事のメニューは受験生中心に

食事のメニューは受験生中心に

「わが家では、入試本番まで、とにかく受験生を支えるという態勢にすることにしました。だから、食事は受験生が好きなものを中心に。そのことは、無言の応援になりますよね。子どもも食べながら心がほっこりするのではないでしょうか?

甘いものが好きな娘のために、近所に新しいケーキ屋さんができたら、すぐ買いに行きました。何でも目新しいものは、楽しくなりますから、受験生もホッとしますよ。

ただし、試験前日や当日は、生モノは避けたほうがいいですよね。我が家も、焼肉は中まで焼けていないこともあるし、お寿司は生モノそのものですから避けました。用心の上にも用心をするということですね」

(佐藤さん)

好きなもの、おいしいものを食べれば、自然に笑顔になれるはず。

いろいろと楽しいことが制限されてしまう受験生だからこそ、食べる楽しみを提供してあげましょう。

Idea.6 家族全員が受験生と同じ生活リズムで

「受験生が自分の部屋にこもって勉強しているのに、家族は別の部屋でテレビを見ている、というのはやめたほうがいいと思います。同じ家の中なのだから音が聞こえますし、受験生は気が散ったり、なんだか孤独を感じてしまうかもしれません。

わが家では、入試直前の時期は、とにかく受験生優先の生活で。夕食の時間なども受験生に合わせて、受験生が寝たら家族も寝るというようにしていました。1月になったら疲れを取るために受験生を1時間早く寝かせていましたが、家族が起きていて生活音を立てると眠りにくいので、全員が一緒に就寝しましたよ」

(佐藤さん)

仕事で帰宅が遅い保護者や年齢の離れた兄弟がいるなど、家庭によっては同じ生活リズムにそろえるのは難しい場合もありますが、入試までの数カ月間だけでいいから、少しでも協力する姿勢を見せれば、子どもに伝わるのではないでしょうか。

【入試準備・前日・当日】に保護者ができるサポート

Idea.7 出願準備・願書提出を代行する

出願準備・願書提出を代行する

「いよいよ願書の手続きが始まると、保護者も子どもも何だか落ち着かなくなります。

願書って、書き込むのはかなり面倒なのですよね。子どもには1分でも惜しんで勉強してほしいのがこの時期です。だから、私の場合、願書関係のことは全て引き受けました。もちろん『自署』とある部分だけは本人に書かせましたが。

願書のなかにある返信用封筒に貼る切手、これの金額が微妙だったりするので面倒なのです。受験料の払い込み、郵送も書留速達だったりするから、これがまた面倒。こんなことに貴重な時間を遣わせたくない、とにかく合格を目指して勉強することに専念してもらいたいと思いました。

また、私は、万が一のことを考えて、受験票は余分に数枚コピーしました。当日のスケジュール表、受験場所の地図、宿泊する場合のホテル関係の書類などは、全てファイリングしてまとめておくといいですね。

今はインターネット出願が多くなっていますが、これも結構ややこしいので、保護者が代行したほうが時間を遣わせなくていいと思います」

(佐藤さん)

一般選抜で複数の大学・学部を受験する場合、さらに個別学力試験と大学入学共通テスト利用入試の両方に出願したりすると、出願手続きだけでかなり手間がかかりそうだし、受験票などの書類の管理も大変なもの。

面倒な事務的作業を保護者が代行してあげることで、子どもの負担を減らすこともひとつの方法です。

Idea.8 早い時期から試験当日の準備をする

「旅行でも、前日の夜や当日の朝などにバタバタと用意をすると、忘れ物をしがちですよね。旅行などは遊びですから何とでもなりますが、受験となると、もし失敗したら次は1年間待たなければならないので、しっかりと気を遣うことが大事です。

私は、何といっても、早め早めに保護者が着々と準備をしておくことが必要と考えました。子どもが4人いたこともあり、受験以外でも忙しいので、手落ちがないように1カ月前から持ち物を準備していました。

デパートの大きな袋を用意して、外側に「〇〇(名前)の受験用」とマジックで大きく書き、わかりやすいところに提げておきました。その中に受験の書類のファイルを入れて、筆記用具、宿泊する場合は下着など、思いついたらポイポイと通りすがりに入れておくのですある時、フッと持ち物を思い出すので、それも袋にポイ。

試験当日に雪が降ってスニーカーと靴下が濡れてしまい、落ち着いて試験が受けられなかった、という話を聞いたので、替えのスニーカーと靴下、スリッパも用意しました。結果的に4人とも受験の日は快晴で、全く必要はありませんでしたけどね。

文房具はとにかく大事です。シャープペンの芯、消しゴムを多めに持っていくと安心だと思います。机の上から消しゴムが転がり落ちてしまったとき、手を挙げて試験官に『すみません。消しゴムを落としたので拾ってください』と言うのは時間の無駄だし、精神的負担にもなるので、消しゴムを多めに用意することは想像以上に重要ですよ」

(佐藤さん)

早めに準備を始めて、思いついたときに入れておける袋があれば、忘れ物はかなり防げるはず。

細かいことですが、保護者が少しでもサポートすることで、子どもの気持ちに余裕がでるのではないでしょうか。

Idea.9 試験前夜は一緒に持ち物チェック

「持ち物は、私が1カ月前から大きな袋に入れて用意していたものの、使うのはやはり子どもですから、前日に親子で持ち物を口で読み上げながらバッグの中へ入れました。本人の手でバッグに入れれば安心です。

当日の朝あせらないように、着ていく服も前日に用意しておきました。

当日の朝は、2時間ほど早く起きて朝食を済ませ、必ずトイレに行くことを重視しました。

また、試験当日の昼食は、お弁当を持たせました。当日の朝は、ものすごい数の受験生が同じ大学を目指して同じ方向に向かって歩いていますから、途中にあるコンビニのおにぎりやお茶は売り切れていることもあると考えたからです。もし会場に着く前に何も買えなければ、試験終了まで飲まず食わずになってしまい、試験結果に少なからず影響するかもしれません。

試験当日は、できれば、保護者も試験会場まで付き合うといいと思いますよ。子どもから少し離れて歩くのもいいし、大学の門に入る時に『頑張ってね』と一声かけて送り出すと、子どもも保護者も何だか心が落ち着きます。そういうのって、実は意外と大事。子離れできていないと言われても、私は合格するまではスルーしました。何よりもまず『合格』が最優先ですよ」

(佐藤さん)

過保護すぎると言われるかもしれませんが、子どもが受験当日に平常心で実力を発揮できるよう、少しでも心身に悪影響を及ぼしそうなリスクを避けてあげたいですね。

【入試直前】の保護者サポートのポイント

Idea.10 サポートするなら徹底的に気持ちよくやる

「入試直前になると、保護者は自分のことをやりたいと思っても、落ち着いてする気にならないでしょ?であれば、自分の24時間をすべて受験生のために遣うくらいの覚悟をするのもありだと思うのです。

私は子どもから『〇〇をして欲しい』と頼まれた時ときに、『自分でやったら?』とか『ママは忙しいのよ』などと言いませんでした。

受験生は問題を解くことが最も要な仕事ですから、それ以外のことは保護者がすると決めて、頼まれたら二つ返事で『いいよ、任せてね』と何でも快く引き受けるようにしました

(佐藤さん)

保護者も仕事をしていたり、家事で忙しいときもあるでしょうが、入試までのわずか数カ月間、サポートすると決めたら、笑顔で何でも聞いてあげましょう。

Idea.11 自分が受験生になったつもりでシミュレーション

「保護者は『自分が受験生だったらどうするのか』と、いろいろ想像してみるといいですね。私も、朝、家を出て受験会場までどうやって行くのか、途中に何があるのか、何をしないといけないのか、心配しすぎるくらいの気持ちで妄想を膨らませました。

そうすると、前もって何を準備しておかなければならないのかがはっきりしてくるのです。シミュレーションすることで、後々無駄になるかもしれないけど、万全な用意をすることができます。

受験は何といっても1年に1回しかないのですから慎重すぎることはありません。経験値が少ない子どもには気づけないことも多いので、そこは保護者がしっかりしなければいけません」

(佐藤さん)

自らも受験したり、いろいろな人生経験を積んできた保護者だからこそ気づけること、注意してあげられることがあるかもしれませんね。

Idea.12 大変なのはみんな一緒。ネガティブにならない

ネガティブにならない

「今年の受験もコロナ禍で行われます。ずっとコロナの感染予防に気を遣って大変でしたよね。でも大変なのはみんな同じですから、受験期を乗り切るコツは、状況を必要以上に嘆かないことです。

何といっても、コロナに感染していなかったら『普通の受験生』なのですよ。この大変な状態を勉強の手をゆるめる言い訳にしがちですが、それはただの甘えだと思います。

保護者もつい『コロナ禍で大変だよね』とか『コロナがなかったらよかったのにね』などと言いがちですが、言っても状況は変わらないし、気持ちが暗くなるから、意識して言わないことです。

子どもと保護者で、合格を目指して、ひたすら無駄を省きながら頑張ってほしいですね」

(佐藤さん)

保護者の耳も痛む、少し厳しいアドバイスでしたが、子どもに共感してあげたつもりの発言が、余計にネガティブにさせてしまうこともあるかもしれません。

保護者も前だけ向いて、コロナに負けず、全力でサポートしてあげたいですね。

from スタサプ編集部


いよいよ入試本番が近づくと、保護者は何をしていいのか、どこまでサポートすればいいのか、いろいろ考えてしまいますよね。

でも、子どものことは保護者が一番よくわかっているはずですから、この子は何をしてほしがっているのか、どんなサポートが適切なのか、表情や言動をよく見て考えてあげましょう。

保護者はあくまで伴走者。子どもが気持ちよく全力でゴールまで駆け抜けていけるよう、支えてあげてくださいね。

取材・文/やまだみちこ 監修・文/佐藤亮子 構成/寺崎彩乃(本誌)

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