未知の宇宙を切り口に、中高生に探究の大切さを教えよう――。東京理科大学の学生が、宇宙をテーマにした中高生向けの探究学習プログラムを企画するプロジェクトが11月28日、同学で開催された。日本人女性初の宇宙飛行士である向井千秋さんが研究代表を務める「宇宙教育プログラム」の一環で、来年1月には学生が講師となり、中学校や高校で授業をする計画。学生たちは授業デザインについて意見を交わしたほか、中高生と接するためのスキルを身に付けるワークに挑んだ。
前半は、同学教育支援機構教職教育センターの井藤元准教授が講師を務め、教員経験のない学生のために、生徒とのコミュニケーションの取り方や、学習者を夢中にさせる授業を作るためのコツをレクチャーした。ゲスト講師には、同学で教員志望の学生に向けた講義の講師経験のある、お笑い芸人の木曽さんちゅうさんを迎えた。
まず学生たちは2人1組になり、自身のお気に入りのアイテムをアピールするワークにチャレンジ。例えば、愛用のシャープペンシルを紹介した学生は、「皆さん、シャーペンって使っています?」と呼び掛けてスタート。「5年使っても壊れない」「5本買ってストックしている」「ラバーが付いていて、握っていても滑らない」などと説明した。
その他にも生徒との関わりの中で活用できる、ネガティブな言葉をポジティブな言葉に変換する言い換え「ペップトーク」についても触れた。学生は、学校現場で登場しやすいネガティブな言葉を変換するワークに取り組んだ。授業中を想定して、「うるさいぞ!」は「テンション上がっているね」、「授業中に寝るな!」は「宇宙行っちゃった?」などと、宇宙に興味がある学生ならではのユニークな言葉が飛び出した。
後半では実際に中学・高校で実施する授業実践について、ディスカッション。学生たちは、宇宙探査に使われる「遠隔操作探査機」を活用したオリジナルの授業アイデアを、学習指導要領を参考に学習指導案に落とし込む作業を行った。
高校で授業を予定するチームは、非常事態の火星を舞台に、仮想国の遠隔操作探査機を安全に避難させるためのルールをディスカッションする授業アイデアを披露。班に分かれた高校生がそれぞれの国に扮し、接触による故障を防ぎながら、迅速に移動するためのルールを話し合うもので、高校生は学生にレクチャーを受けながら実際に遠隔操作探査機を操作し、試行錯誤して学びを深めていくという。
発案した学生の一人は「探究学習と宇宙教育を掛け合わせて、自律性と社会性を育みたい。宇宙教育では作る体験や制約条件の中で何かを成し遂げる難しさ、グループ活動などを体験できる。高校生はルールを作る経験をほとんどしたことがない中で、身の回りのルールを見直すきっかけにもなるのではないか」と狙いを明かした。
担当する同学の木村真一教授は「とても面白い着眼点だが、ルールのコンセンサスは大人の世界でも難しいので、大変難しい授業になるだろう。例えば『ランプの付け方でルールを決める』など例示しながら、生徒がイメージしやすいように工夫する必要がある。生徒を没入させるためのストーリー作りも肝心だ」などとアドバイスを送った。
その他にも学生たちはコマ数の使い方や、評価の手法など多岐にわたって、熱心に議論を深めた。
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