「1人1台端末」公立高校はまだ配備2割 高校に入ったら、また紙と鉛筆の世界に戻るの?(朝日新聞EduA) – Yahoo!ニュース – Yahoo!ニュース

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【話を聞いた人】神奈川県立川崎北高校長 柴田功さん

(しばた・いさお)  1964年神奈川県生まれ。理科、情報科教員。2018年から神奈川県教育委員会ICT推進担当課長。20年から現職。文部科学省「GIGAスクール構想に基づく1人1台端末の円滑な利活用に関する調査協力者会議」委員も務める。

──文部科学省調査では、パソコンやタブレットなどの「1人1台端末」について小中学校は2021年7月末時点で9割以上配備できたのに対し、公立高校で完備できたのは同年8月時点で47都道府県のうち11県。まだ2割強です。

GIGAスクール構想で、小中学校の「1人1台端末」の整備には国から新たに予算がつきましたが、高校は対象外でした。義務教育が優先されたためです。

コロナの感染者数が比較的少ない自治体では、コロナ対応の交付金を端末整備に充てるところもありました。一方、大規模な自治体ほど感染者数が多く、生徒数も多いため端末整備に予算がまわらなかったといえます。

──小中学校の端末は自治体が購入し、児童生徒に貸す形で家庭の費用負担はありません。これに対し高校では、保護者負担とするところが東京都をはじめ21都道府県あります。

自治体の財政状況によるもので、約半数が保護者負担になるのではないでしょうか。もちろん困窮家庭には自治体が支援するよう国は求めています。

さらに保護者が購入する場合には、三つのパターンがあります。個人が自由に端末を選び学校に持ち込むBYOD(Bring Your Own Device)、学校が推奨する複数のものの中から選び購入するCYOD(Choose Your Own Device)、学校が指定する端末を購入するBYAD(Bring Your Assigned Device)です。

それぞれ一長一短あります。例えばBYODは生徒にとって最適な機種を選べ、家庭の経済状況に応じた選択もできます。しかし生徒によって機種がバラバラだと指導しにくいと感じる教員もいます。自治体が端末を貸与する場合は、保護者の費用負担がなく、全員が同じ端末を利用できますが、必ずしも個々の生徒に合ったものになるとは限らず、卒業時には返却しないといけません。

──来年4月には、中学で1人1台の端末を利用してきた生徒たちが高校に進学します。それまでに完備できていないと、高校に進学した途端、生徒たちは紙と鉛筆の世界に戻ることになり、そうした状況を指す「デジタル・ショック」という言葉も使われ始めています。加えて、1人1台を「パソコン」ではなく「スマートフォン」にしようとする自治体や高校もあると聞きます。問題はないのでしょうか。

GIGAスクール構想はコロナ禍によって一気に推進されたこともあり、端末整備の目的をオンライン授業のためと勘違いする人がいますが、違います。本来の目的は、端末を日常的に使い、「個別最適化された学び」や「創造性を育む学び」を実現することにあります。ですから、小中学校で得てきたICT環境を高校で途絶えさせてはいけません。

私は神奈川県教育委員会に在籍していた19年に、学校のWi-Fi環境を整え、生徒ひとりひとりにGoogleアカウントを付与し、スマートフォンを学校内で学習端末として活用できるようにしました。都道府県レベルでは全国で最初の取り組みで、昨年度のコロナの休校期間中も、勤務校では学びを止めることなく、オンライン授業ができました。参考にした自治体は多かったようです。

スマートフォンでもかなりのことはできますが、限界があります。プログラミングやデータ分析、プレゼンの資料作成などは、パソコンでないと困難だと思います。スマートフォンは過渡的なもので、今はパソコンをきちんと導入すべきです。

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