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(新潮文庫 473円)
※角川ソフィア文庫からも刊行
実は、私の高校時代は平穏無事ではなかった。高校入試直前に急病に襲われ大失敗。失意の中、入学した高校で暴力教師に遭遇し、反発のあまり授業ボイコット。それが原因で父親の転勤先・高松の高校に編入できず、留年となった。
前籍校と同じ教科書を使用しての2度目の授業に、私は強い孤独と疎外感を覚えた。若者らしい正義感と理想に焦がれる一方、実生活ではそれらを少しも体現できない葛藤に思春期特有のイライラも加わり、私は怒りの澱(おり)を抱え込んでいた。
こうして精神的ひきこもりに陥った私は、読書の世界に逃避していった。気付くと、放課後の私の居場所は近くの県立図書館に。ほぼ毎日3年間通いつめ、書架の本を読み漁(あさ)っていた。出版される岩波新書はジャンルの別を問わず次々に手を出した。分厚い『日本古典文学大系』なるシリーズ、『徒然草』や『平家物語』、『歎異抄』、『風姿花伝』も読み、『論語』や『孟子』などの中国古典にも手を広げていった。
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