文科省は10月1日、新型コロナウイルスの感染拡大時のオンライン授業などで出席停止扱いとなった場合に、受験生が不利益を被る懸念をなくすため、調査書の記載方法を変更する通知を教委などに出した。今後作成する大学入試の調査書では、「出席停止・忌引き等の日数」を記載しないこととし、高校入試にも同様の対応を求める。また指導要録の記入方法を、オンライン授業を受けたことが調査書に転記しやすくなるよう改善する。
文科省の方針では、新型コロナウイルスの感染拡大により登校できず、オンライン授業を受けた場合、校長の判断により「出席停止・忌引き等」の扱いとなる。このことから、受験生や保護者から「出席日数の扱いによって、入試で不利益に扱われるのではないか」という懸念の声が上がっていた。
このことを踏まえ今後、大学・高校入試で作成する調査書には、出欠の記録に関する事項のうち「出席停止・忌引き等の日数」と、それが推測できる「授業日数」は記載しないこととした。ただし、そのことで調査書作成に関わるシステム改修が必要となる場合や、すでに作成していて新たな調査書の作成への負担が大きい場合などは、従来通りの記載もやむを得ないとしている。
また、これまでオンライン授業を受けた場合は、指導要録上、「指導に関する記録」の別記で「非常時にオンラインを活用して実施した特例の授業等の記録」として記載していたが、そのうち「参加日数」を本体の「出欠の記録」の備考欄にも記入することとし、調査書に転記する際、オンライン授業を受けていたことが明確に分かるようにする。
こうした対応について、萩生田光一文科相は10月1日の閣議後会見で「授業をはじめ、学校の教育活動全体を通じた教師から児童生徒への直接の指導、児童生徒同士の関わり合いなどが重要であるという基本的な考え方を変更するものではなく、いずれもこれまでの対応を徹底、あるいは明確化する趣旨のもの」と説明。オンライン授業はあくまでも出席停止の扱いとし、出席扱いとはしない方針を改めて確認した。
文科省は今年6月4日の通知「2022年度大学入学者選抜実施要項について」で、「各大学は、新型コロナウイルス感染症の影響により出席日数、特別活動の記録、指導上参考となる諸事項の記載が少ないことなどをもって、特定の入学志願者を不利益に取り扱うことがないようにする」と要請している。
また9月10日には高校入試について「調査書において出席などに関わる日数の記入欄を設けている場合には、臨時休業や分散登校、出席停止などに伴う当該欄への記載内容により、特定の入学志願者が不利益を被ることがないようにすること」とする通知を出している。
Powered by the Echo RSS Plugin by CodeRevolution.