首都圏の小学生が、寮を備えた地方の私立中高一貫校を受験するケースが増えている。一方で、公立志向が強い東海地方でも中学受験熱が高まり、首都圏や関西圏の学校を第1志望とする動きが出てきている。背景を探った。(川口敦子)
早稲田大学の7番目の付属・系属校として、2010年に開校した早稲田佐賀中(佐賀県唐津市)は、全校生徒376人のうち130人が首都圏出身だ。寮のある中高一貫校で、早稲田大に、卒業生の約半分が内部推薦で進学できる。高校の野球部が17年夏の甲子園に出場したことで認知度も広まり、首都圏出身者が多くなった。
19年入学の入試からは、区分を「九州入試」「首都圏入試」に分けて、それぞれに定員を設け、福岡県や熊本県のほか、全国各地から生徒が集まるようになった。「内部推薦は高校での定期考査などをもとに決めるが、国公立大や医学部をめざす生徒もいる。いろいろな地域出身の生徒がいることが強みになっている」と覚前(かくまえ)宏道教頭は話す。高校から、新たに120人が入学するのも、生徒たちの刺激になっているという。
大学との連携もあり、早稲田大の教授による模擬講義や、理工学部のスタッフが中学生に実験を見せる取り組みもある。早稲田大の多くの学部の入試で数学が必修になり、AI(人工知能)やプログラミングが身近になったこともふまえ、同校では数学の授業にも力を入れている。早稲田大の入試改革を意識し、22年入学の中学入試からは、思考力を問う「新思考入試」を新たに設ける。
在校生の男女比は3対1で男子が多いが、女子寮もあり、約60人の女子中学生が寮生活を送る。男女合わせて、寮生が6割強を占めている。
奈良に首都圏出身者が3割の中高一貫校
関西の私立中を受験する首都圏の生徒もいる。
西大和学園中(奈良県河合町…
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