高校入試のための受験勉強もだんだん熱を帯びてくるこの時期、今回は数学の記述力を高める勉強法についてお伝えします。数学が苦手で記述問題になると何をどのように書けばいいのかわからないという方もいらっしゃるかと思いますが、入試で差がつきやすいのはその記述問題です。今からでも間に合う記述問題対策のコツをご紹介します。
数学で記述力って必要ですか?
記述力と聞くと、国語や英語など言語系教科のことを思い浮かべる方もいらっしゃることでしょう。しかし、数学の入試でも記述問題は出題されます。
2020年の公立高校入試では9割近くの都道府県で何らかの記述問題が出ました。記述力が必要な問題パターンは、まず「証明問題」。問題で与えられた条件を使って論理的に結論を導き出します。
次に、「答えを求めるまでの過程を書く問題」。自分がどのように考え、どんな計算をして答えを出したのかを解答欄に書くというものです。多くの受験生が解答できる計算問題や解答だけを答える問題で差がつかない場合、この記述問題で得点できるほど合格に近づくと言えます。
証明問題をおさえる!
高校受験の証明問題では、図形分野で、三角形の合同を使った証明問題や、三角形の相似を使った証明問題をベースにしたものが出題される場合が多いです。
これらの証明の大まかなステップは、以下の3つです。
【三角形の合同・相似の証明】
- 1 証明する2つの三角形を書く
- 2 問題文などからわかる根拠となることがらを書いて、合同条件(相似条件)を書く
- 3 結論を書く
証明は中学で初めて学習するものですから、誰もが最初はうまく書けません。書き方がまったくわからなければ最初は上の3ステップを意識しながら参考書や問題集にある証明の基礎問題の解答をそのまま写してみるところから始めてみましょう。
そして自分の中で3ステップが消化できて証明の流れがつかめてきたらゼロから書いてみて、不足しているところがないかなどに注意して解答と見比べて練習を重ね、徐々に応用的な問題に取り組んでいきます。
求める過程を書く問題をおさえる!
答えを求めるまでの過程を書く問題では、自分の考えをいかに採点官にわかってもらうかが大切です。ただ計算の途中式を書くだけではまだ不十分です。「求める直線をy=ax+bとおくと…」や「△ABCの面積を求めるための高さは…」というように、なぜその式を立てるのか、なぜその計算をするのかという理由を書くくせをつけましょう。
それによって、採点官はあなたが何を書こうとしているのかを読み取ることができます。入試の過去問を解くときも模範解答や解説で、解く過程がどのように書かれているかに注目してまねをしてみましょう。
部分点を取りにいく。わかりやすい字を書く。
解いている途中で、わからなくなってしまったり、時間がなくなったりするかもしれませんが、そこであきらめずに何か書きましょう。
証明問題では合同条件や相似条件の1つが書いてあるだけでも部分点がもらえる場合があります。また、答えを求めるまでの過程を書く問題では、いくつかあるステップの1つだけでもできていると部分点がもらえることがあります。
記述問題は答えだけを書く問題と異なり、部分点を得るチャンスがありますので、途中まででもがんばって書いてみるということが大切です。
最後に、数学に限らずどんな記述問題でも
ことを心がけましょう。美しい字であることよりも、誰もが読めるわかりやすい字で書くことを意識します。自分の字がわかりやすいかどうかを周りの方に見てもらうのも良い対策ですね。採点官に自分の解答を見てもらえるように解答用紙上でアピールする姿勢が大切です。
まとめ & 実践 TIPS
いかがでしたか。記述力は一朝一夕に身につくものではありませんので、普段から途中の計算は飛ばさずに書くようにしましょう。また、記述力を伸ばすと受験だけでなく、内申点に影響する定期テストでも効果が出ます。今の時期から上記の対策を始めて入試合格に向けて頑張りましょう!
株式会社プランディット 編集事業部 数学課 西浦
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、小学校から高校向けの算数・数学、理科の教材編集を担当。
プロフィール
株式会社プランディット
1988年創業のベネッセ・グループの編集プロダクションで,教材編集と著作権権利処理の代行を行う。特に教材編集では,幼児向け教材から大学入試教材までの幅広い年齢を対象とした教材・アセスメントの企画・編集を行う。
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