中学校の一般入試で、英語を導入する学校が増えている。いまの小学6年生が受験する2022年の入試では、初めて受験生全員に英語を出題する学校もある。グローバル化への対応に加え、受験の選択肢を増やすことで、多様な生徒を確保するねらいもあるようだ。(三島あずさ)

「『できて当たり前』の時代」

 「絵の内容を最も適切に表している英文を、(ア)、(イ)、(ウ)のうちから1つ選んで、解答用紙にその記号を書きなさい」

 日本語の音声に続き、選択肢が英語で読み上げられる。

 〈Number one. ア This is a cat. イ This is a book. ウ This is a peach.〉〈Number two. ア She is happy. イ She is angry. ウ She is sad.〉

 2022年の入試で、初めて全ての受験生に英語を出題する江戸川学園取手中学(茨城県取手市)が、ホームページで公開しているサンプル問題の一部だ。リスニング問題のみで、音声はゆっくり2回ずつ流れ、解答は全て選択式。国語、算数、理科、社会、英語の「5科目型」入試の場合、試験時間180分・350点満点のうち、英語の配分は20分・50点となる。

 中等部入試担当の遠藤実由喜教諭は「グローバル化が進み、英語は『できて当たり前』という時代。(小学5、6年生での20年度からの)教科化が決まったときから、22年の入試に英語を入れようと検討を重ねてきた」と話す。

 ただし、受験生の負担にならないよう、「あくまでも小学校の授業で使われている教科書のレベルに合わせた出題」にし、英語塾に行っていなくても、8割程度は得点できる難易度をめざす考えだ。「学校の授業を大切にする」という、同校の基本姿勢を示す意味合いもあるという。

 遠藤教諭は「『受験のために』と無理に詰め込んで英語が嫌いになってしまっては、元も子もない。学校の授業で楽しく英語に触れる、ということを大切にしたい」と強調する。7月にオンラインで開催されたオープンスクールでは、説明役の生徒が「好きな海外ドラマを英語で見ています」「毎日なにかしら英語に触れる機会をもって、とにかく英語を楽しんで下さい」と受験生に呼びかけた。

4技能を問う学校も

 一部の受験生を対象に、「読む・聞く・話す・書く」の英語4技能を問う試験を22年の入試で新たに実施するのは、共立女子中学(東京都千代田区)だ。

 英語で対話やゲームをし、会話力や積極性などを評価していたこれまでの「インタラクティブ入試」を、ペーパーテストも加えた「英語4技能型入試」(英語と算数)に衣替えする。英語の難易度は英検3級から準2級程度を想定し、募集人員は15人としている。

 国際交流部の石田大介主任は「昨今、4技能を重視する傾向は強まっており、大学入試も大きく変わった。発信力や、さまざまな情報を読み取る力、批判的に考える力など、多様な力を伸ばしていく必要があり、入試もバージョンアップさせた」と話す。

 加えて、受験のために通塾を…

この記事は会員記事会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。