中学校の「新しい通知表」、2学期から始める内申アップ対策! 学習態度の評価に疑問を感じたら…(2021年9月2日)|BIGLOBEニュース – BIGLOBEニュース

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2021年から新しくなった中学校の通知表。観点が大きく変わった点がありました。各観点の評価ポイントを押さえ、内申アップ対策につなげましょう!

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2021年から大改訂された中学校の通知表、内申アップ対策は?

2021年より大改訂された中学校の通知表。新しい通知表のつけ方の次に気になるのが内申アップの仕方です。そこでまずは、3つの観点別評価のポイントを簡潔にまとめてみました。



<3観点別評価のポイント>

・「知識・技能」(上段)……基礎的・基本的な問題の評価

・「思考・判断・表現」(中段)……発展応用問題の評価

・「主体的に学習に向かう態度」(下段)……授業態度!?

実は評価といっても、必ずしも全てがテストの点数だけで決まるわけではありません。「ポートフォリオ評価」といって、授業や活動への取り組みの記録や作品、レポートといった多面的な評価がなされるのが、昨今の教育における評価の流れとなっています。

しかしその中でも「知識・技能」「思考・判断・表現」の観点については、おおむねテストの点数が評価の対象となります。そこでこの2観点に関しては、どのような問題が評価対象なのかを押さえておきましょう。また少々難解な「主体的に学習に向かう態度」の意味についても、正しく理解する必要があります。

「知識・技能」の観点=基礎的・基本的な問題の評価

3つの観点の一番上「知識・技能」はひとことで言ってしまえば、基礎・基本の問題の点数で決まります。

国語なら漢字や基本的な語句を答える問題など、数学なら文字式や方程式といった基礎的な計算問題、英語なら単語や熟語を答える問題、同じように理科や社会でも重要語句を答える問題が「知識・技能」の観点の評価対象になります。

これらは学校で使用している問題集の中でも簡単な問題から出題されます。事前にテスト対策プリントとして配られるケースもあるため、通知表の各教科の一番上の観点が「○」あるいは「空欄」の場合は、こうした問題で点数を取れるようにしておきましょう。

「思考・判断・表現」の観点=発展や応用問題の評価

2つ目の観点「思考・判断・表現」は、発展や応用問題の点数で決まります。

国語では本文を読んで内容を判断する多肢選択問題、また「〇〇という言葉を使って30字程度で説明しましょう」といった記述問題などです。数学では文章題や図形の問題、証明問題、英語では英作文や整序問題、長文読解問題など、理科や社会では実験、資料を読み取る問題、記述式の問題などが「思考・判断・表現」の観点の評価対象になります。

答えを覚えるというよりも、やはり考える問題が中心となります。これらは一夜漬けでは対策にならないため、普段の勉強が大切になります。

通知表の各教科の真ん中の観点が、「○」あるいは「空欄」の場合は、こうした問題で点数が取れるようにしておきましょう。

「主体的に学習に向かう態度」の観点=授業態度?

さて「主体的に学習に向かう態度」の観点ですが、これが少々難解です。一般的には、授業態度や提出物がこの観点の評価対象だと思われていますが、実は違います。正確には「自己の学びを振り返り、調整する力」が評価のポイントとなります。

例えば、「これまでは何も考えずに飛び箱を跳んでいたが、手をつく位置や踏み台に力強く踏み込むことを意識したら飛べるようになった。これからも、ポイントを意識して練習するように心がけたい」といった、振り返りができているかどうかということです。

これは他の教科でも同じで、漢字を覚えるのにその成り立ちを調べたり、同音異義語と比べてみたり、漢字を理解するための学び方に工夫があった場合、これは「主体的に学習に向かう態度」に当てはまります。

つまり、学び方や取り組み方を振り返り、それらを自分で調整できたかどうかが評価の対象になるのです。宿題を“指示通り”やったではなく、“工夫して”やったことで「〇」がつくということです。単純に授業態度や宿題などへ取り組む態度が評価の対象になるわけではありません。

授業態度=先生への”忖度(そんたく)”はなくなるのか?

これは学校の先生の中にも勘違いしている人が少なくありません。あってはならないことですが、主体的に学習に向かう態度とは、教科の担任の先生に対するいわゆる“忖度(そんたく)”が評価の対象ではありません。

もし、次の学校のように評価の対象が先生への忖度となっているような場合、ひと言伝えてみることも大切です。

ある中学校の国語では、授業ノート、宿題ノート、漢字ノート、漢字プリントがあり、それぞれに評価の基準がありました。確かにノートに工夫が見られたり、漢字プリントに取り組んだりといったことは主体的といえるかもしれません。しかし「○回書いた」や「すき間がなくなるまで書いた」など、ノートを教師の指示通り書いたかどうかは必ずしも主体的とはいえません。

そもそも、ノートを書くことは勉強するための手段のひとつでしかありません。何回も書きまくって覚えようとするような勉強法は、ただ書くことが目的になってしまい、意味や背景までは深く理解されないため、時間が経てば忘れてしまいがちです。

学習科学で効果的といわれる「テスト効果(testing effect)」を使えば、ノートに書かなくても漢字などは覚えられるのですから、それを主体的と評価するのは適切ではないでしょう。

ましてやノートやプリント類に提出の義務があるのなら、「評価されるからやる」というのは主体的といえるかどうかは微妙です。これでは評価のためにやるという本末転倒なことになってしまうからです。

このように「主体的に学習に向かう態度」を評価することは大変難しいことです。態度という非常にあいまいな観点のため、学校の先生も苦心していると思います。しかし、通知表の評定(内申点)は進路に関わる重要な指標です。もし、気になることがあったら、遠慮なく「指導要領のどの観点に基づく評価なのか」説明をしてもらうようにしましょう。

2学期から始める内申アップ対策!

まずは1学期の通知表を見直してみましょう。「〇」や「空欄」の観点がないか調べます。

「全ての観点が◎」なら5もしくは4、「2つ◎で1つ〇」なら4もしくは3の評定になります。評定を4から5、3から4に上げるためには、〇の観点を◎にする必要があります。また1から2、2から3に挙げる場合は、空欄を〇にしなければいけません。

次に、〇がどの観点か調べます。上から順に「〇・〇・〇」の場合は、一番上か一番下の観点を◎にすることをまず考えます。「〇・〇・◎」の場合は、基礎基本の問題を重点的に取り組みます。基礎基本ができないのに発展応用ができるとは考えづらいからです。

「◎・○・〇」の場合は、主体的に学習に向かう態度の観点を上げるようにします。活動への取り組み方や振り返り(リフレクション)シートへ書きこむ内容を見直すようにしましょう。

「◎・〇・◎」の場合は、「思考・判断・表現」の観点の対象である発展問題や応用問題、資料を読み取る問題、記述問題などで点数が取れるように対策を取る必要があります。学校の問題集では物足りないという子は、塾や市販の問題集を解きましょう。

もちろん、空欄の観点があったら、早急に改善する必要があります。特に一番上の観点と一番下の観点が空欄の場合は、すぐに改善が必要です。

このようにして対策をとり、内申アップにつなげていきましょう!

(文:伊藤 敏雄(学習・受験ガイド))

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