教科担任制で教職員定数2000人増 文科省が来年度予算要求 – 教育新聞

花のつくりとはたらき

 2022年度からの本格導入を目指す小学校高学年の教科担任制について、文科省が4年間をかけて教職員定数を段階的に8800人程度改善する方針を固めたことが8月25日、分かった。来年度予算の概算要求に、初年度分として2000人増を盛り込み、専科指導教員の計画的な配置を図る。また、2年目を迎える小学校全学年の35人学級への移行については、来年度に第3学年の学級編制の標準を35人に引き下げるため、教職員定数3290人の改善を概算要求に盛り込む。

 小学校高学年の教科担任制は、教科指導の専門性を持った教員による系統的な指導の充実と、持ちコマ数の軽減や授業準備の効率化など教員の負担軽減を図る目的で、来年4月から本格導入される。

 優先的に専科指導の対象とすべき教科は、外国語・理科・算数・体育の4教科。文科省では、専門性を持った教員を確保するため、8800人程度の定数改善が必要と見込み、来年度から4年程度をかけて段階的に専科指導の体制を整える方針を打ち出した。これを受けて、来年度は2000人の定数改善を図る。教科担任制を巡る定数改善については、先に文科省の検討会議の報告で、国に対して「各地域・学校の実情に応じた取組が可能となるような定数措置」を求めていた。

 小学校全学年の35人学級への移行では、今年3月に公立小学校の学級編制を40人から35人に引き下げる義務標準法の改正が行われ、2025年度までに年次進行で段階的に進められることが決まっている。これに従って、来年度は第3学年の学級編制の標準が35人に引き下げられ、これに必要な教員を確保するため、文科省は教職員定数3290人の改善を概算要求に盛り込む。

 ただ、教職員定数には、児童生徒数の減少に伴う自然減などが6912人あり、教科担任制の本格導入や35人学級への移行による改善分と差し引くと、来年度予算概算要求でも教職員定数の微減傾向が続くことになる。これに伴い、来年度予算の義務教育費国庫負担金の要求額は今年度予算よりも17億円少ない1兆5147億円となる見通し。

 児童生徒一人一人へのきめ細やかな対応や教員の負担軽減を進めるため、学校現場への支援スタッフも拡充する。学習プリントなどの準備や採点業務、来客・電話対応、消毒作業などをサポートする教員業務支援員(スクール・サポート・スタッフ)の配置は、今年度に比べ9600人増の2万4300人に増やす。教員を補佐して学力向上にあたる学習指導員は、同1万1000人増の1万4100人に一気に増やす。教員の働き方改革で焦点になっている中学校における部活動指導員は、今年度の600人から1万1400人にまで急増させ、教員に代わって部活動の顧問を担う体制を充実させる。

 廃止が決まった教員免許更新制に代わる教員への新たな研修制度の導入など教員制度改革については、教員研修のコンテンツに対する質保障などを担う教職員支援機構の通信インフラや、研修動画のアーカイブ化を促進する。学校現場への外部人材の導入を促進するため、社会人経験を持つ教員免許状保有者が研修を受講できる仕組みを来年度から3年間かけて構築するとともに、隙間時間を活用したワンポイント・レッスン動画の制作や配信に取り組む。

 また、新たな教員研修制度を作っていく中で、学校管理職の役割が問われていることから、年間6000人いる全国の新任校長を対象に、文科省が講習動画を配信するなど「先導的な管理職研修プログラム」を新たにスタートさせる。このため、新任校長向けハイブリッド型研修として、文科省は2000万円を概算要求に盛り込む。

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