静岡県内公立高校 生徒確保へ広報強化 志願倍率低下に危機感 少子化や授業料助成背景|あなたの静岡新聞 – @S[アットエス] by 静岡新聞

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 静岡県内の公立高は2021年度入学者選抜で平均志願倍率が0・99倍となり、現行の入試制度で初めて1倍を下回った。少子化に加え、私立高の就学支援金による授業料実質無償化などが影響したとされる。新型コロナウイルスで学校紹介の機会が制限される中、各公立高は教育課程や学校の特色など、情報発信に力を入れる。

学校の特色として生徒の自治活動を在校生が紹介した一日体験入学=8月上旬、沼津市の県立沼津東高

学校の特色として生徒の自治活動を在校生が紹介した一日体験入学=8月上旬、沼津市の県立沼津東高

 沼津市の沼津東高で2日、2年ぶりの一日体験入学が開かれた。渡辺紀之校長は中学生に、ICT(情報通信技術)機器や自習室などの教育環境と共に、目標に向けて頑張る生徒の姿を紹介し、「沼津東には君たちが成長できる環境がある。教職員もそれを支える覚悟がある」と熱弁した。在校生の自治会役員や学校祭実行委員も登壇し、生徒がつくる自治会則が校則の代わりになることや、生徒自身が企画・運営する学校行事など、学校の魅力をPRした。


 県内有数の進学校として知られる同校は、21年度入試で普通科が定員割れとなり、高校関係者に衝撃を与えた。本年度は渡辺校長や教員が近隣の中学校を巡り、新たなポスターや動画配信サイトのチャンネルをつくるなど、積極的な情報発信に取り組む。渡辺校長は「近隣の私立や公立との競合がある中、中学生が本校に『真面目』や『硬い』という印象を持っていると聞いた」と振り返り、「広報だけでなく学校のコンテンツを高めることも重要」と話した。


 県高校長協会では志願倍率低下に危機感を抱き、公立高の合同説明会も始めた。20年秋に静岡・清水地区の10校が静岡市内で初開催し、生徒や保護者約1300人が参加した。21年度は県内4カ所での開催を予定していたが、このうち2カ所は新型コロナの緊急事態宣言で中止を余儀なくされている。


 静岡・清水地区の合同説明会を運営する静岡西高の村松喜一郎校長は、「専属の職員や広告会社を使える私立高と異なり、公立高はネットを含む情報発信のノウハウが少ない」と悩む。「今後さらに少子化が進み、公立高が維持できなくなる可能性もある。全ての子どもに教育を受ける権利を保障するため、公立高存続への取り組みが必要」と強調した。


 県教委も21年度、学校紹介を担う教員のプレゼンテーションや、SNS(会員制交流サイト)での情報発信に関する研修を実施している。高校教育課の担当者は「中学生や保護者が公立高の情報に触れる機会を増やしたい」と意気込む。

 ■2021年度 私立入学者は増加


 静岡県内では1960年代ごろから、高校浪人を防ぐために公私の定員比率を「2対1」とする慣例があった。2004年には少子化による私立高の生徒数減少を受け私立側の制限が撤廃され、認可定員での生徒募集が可能になった。一方、公立高は現在も、中学卒業予定者のうち高校進学者数の3分の2の受け入れを想定し、毎年、募集定員を決めている。


 20年度からは、私立高の生徒に対する国の就学支援金制度が大幅に拡充され、年収590万円未満の世帯に全国平均授業料の全額が支給されるようになった。県は同年度、590万円以上700万円未満の世帯にも国の支援金と合わせ全額を支給する県独自の上乗せ支援を開始した。21年度はさらに700万円以上750万円未満の世帯にも対象を拡大し、全国平均授業料の半額分を支給している。


 21年度入試の対象だった中学卒業予定者は前年度より約1300人少なく、公立高の募集定員も1120人分削減されたが、全日制93校162科のうち約半数の55校82科が定員割れした。一方で県私学協会によると、21年4月の私立高入学者数は20年度から151人増の1万1129人。単願の比率が9割を超え、私立高を第1志望に選んだ生徒が増えた傾向がみられた。


 そのほかにも、近年では県外を含む通信制高への進学者も増加している。

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