同じプールで泳ぐ木村敬一選手に衝撃、授業で伝えるパラ競技 – 読売新聞

基本問題

 東京都内で4日目を迎えた東京パラリンピックの聖火リレーは23日、世田谷区の都立砧公園で点火セレモニーが行われた。同区と西東京、三鷹、府中、調布4市で公道を走る予定だったランナーがグループをつくり、聖火をつないだ。最終日の24日、渋谷区でリレーと都内での到着式が行われた後、聖火は開会式会場の国立競技場(新宿区)へ向かう。

「選手の努力が伝わる大会に」聖火運ぶ

トーチを手に笑顔を見せる風間さん(世田谷区で)=川口正峰撮影

 風間大輔さん(37)は、保健体育の教諭を務める府中市の中学校で、授業にパラリンピック競技の要素を取り入れている。腕を使わずに足だけで泳いだり、目隠しをして伴走者とともに走ったり。「限られた体の機能で活躍するパラ選手の動きを学ぶことは、スポーツ教育でも有用だ」と語る。

 学生時代は野球に熱中し、足ひれをつけて泳ぐ「フィンスイミング」では国際大会に出場した経験も持つ。同じプールで練習していたのが、パラ水泳のエース・木村敬一選手だった。飛び込みの力強さや繊細なフォームに衝撃を受けた。

 教師の道へ進んでからは、木村選手から感じた無駄のない肉体の使い方、そしてパラスポーツの魅力を子どもたちに伝えたいと思った。視覚障害者の競泳で、選手にターンやゴールのタイミングを棒で伝える「タッパー」から泳法も学び、映像を見て研究を重ねた。

 最初は戸惑う生徒も多かったが、足や腕の動かし方を工夫して泳げるようになっていく。伴走の際は、段差の有無や体の向きなど、目隠しをした走者に伝える情報を自ら考えるようにもなり、生徒の成長を実感する日々だ。

 この日、「パラ選手は自分や生徒に多くのことを教えてくれた。選手たちの努力が伝わる大会にしたい」と願いながら、聖火をつないだ。

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