東大合格から逆算「灘式」中高6年間カリキュラムの勉強習慣 – ライブドアニュース – livedoor

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中高一貫の灘校に入学して、「大学受験までの6年間のペース配分」という発想があることを和田秀樹氏は知ったという。つまり、6年間の過ごし方を灘校式にすれば東大合格に有効なのです。6年間のトータルで東大受験に必要な学力を身につけるという発想と学習習慣が東大合格を約束することになるという。※本連載は、和田秀樹氏の著書『公立・私立中堅校から東大に入る本』(大和書房、2019年2月刊)より一部を抜粋・再編集したものです。

中学のカリキュラムはスカスカ、高校は超過密

■自分で「6年間のカリキュラム」を作る

そもそも中学3年、高校3年という区切りを意識しすぎるところに問題があります。

日本では戦後すぐの1946年に学制改革が行われ、現在の「6・3・3・4制」へと学校体系が変更されたわけですが、当時の大学進学率は非常に低く、高校教育は大学進学を念頭に置いていたわけではありませんでした。

一方で、中学教育は義務教育ですから、そもそも受験や進学を想定したカリキュラムになっていません。

本来であれば、高校進学率、大学進学率の上昇に合わせて、6年間の学習スピードを見直す必要があったのですが、うやむやなままここまで来てしまいました。結果として、中学のカリキュラムがスカスカで、高校のカリキュラムが超過密という問題が生じるようになったのです。

理想をいえば、少なくとも中1のときに中2までのカリキュラムは先取り学習でクリアしておきたいところです。

中1時点で中3までの勉強をクリアすれば、相当有利になるのは確実です。少なくとも中2までに中学の勉強を終わらせておけば、中3時には高1の勉強に手をつけることが可能です。

普通に考えて、中3時点で高1の勉強に取り組んでいた人のほうが大学受験においては圧倒的に有利です。

特に、東大受験を考えるなら、中3のときに高1の勉強に着手していないと、絶対的に不利な状況に追い込まれます。

そして高3は、できるだけ志望校合格のための課題克服に時間をかけたいところです。

たとえば、高3の初めに東大文系の過去問題に取り組み、440点満点で150点しか取れなかった場合、あと110点を1年間でどう上げていくかを考えます。

東大の入試問題では、たしかに英数国は難問が多いですが、理科社会はそれに比較すると難易度は低めです。

自分の得意不得意や、点数の取りやすさなどを踏まえて、どの教科で「あと何点伸ばすか」を明確に意識して、計画する作業が必要です。つまり、大切なのは自分でカリキュラムを組み立てることなのです。

特に新しい大学入学共通テストは、英語や論述で特殊な対策が必要になる可能性があります。

東大の入試に面接や小論文が課されるようになれば、その対策も必要です。

そのときそのときの最新の対策を最後の1年でできるように、なるべく先取りで勉強し、最後の1年は、受験専門の対策に取っておきたいものです。

暗記数学は、基礎学力があってはじめて成立する

■基本は「中学受験」の基礎学力

私は長年にわたって「数学は暗記だ」と唱えてきました。

ここにも誤解があり、「解法を丸暗記しなければならない」と考えている人がたくさんいます。

しかし、東大合格者でも10行くらいの長い式を丸暗記できるわけではありません。

暗記するうえで「なぜそうなっていくのか」という理屈がわかるというのが絶対的な条件になります。理解できていれば、10行でも20行でも解答は覚えられますが、理解していなければお手上げだからです。つまり、暗記数学は、基礎学力があって、はじめて成立する勉強のやり方ということです。

基礎学力をつける中学校受験は重要になってくるという。(※写真はイメージです/PIXTA)

これは数学に限らず国語も同じです。

中学受験の国語では、「それ」というのが何を指すのか、この段落とこの段落をつなぐ接続詞は「しかし」なのか「それで」なのかといった、基礎的な読解のトレーニングが要求されます。基礎的な読解のトレーニングを身につけておくと、文章が高度になっても対応できます。

しかし、こうしたトレーニングに取り組めるのは、小学生の間では、中学受験塾くらいでしょう。

小学校の国語の授業では、「○×君はこのように思っていた」などと漫然と解説するだけなので、読解のトレーニングをしている子との差が圧倒的についてしまうのです。

受験生は、「東大合格者がみんな使っている参考書がある」と言われると、無条件に飛びつく傾向があります。

ここで参考書に取り組んでも結果が出ない受験生は、自分に実力がないと考えます。

「やっぱり東大に合格するような人は最初から頭の出来が違うんだ」などと、あきらめモードになるのです。

しかし、それは根本的に間違っています。

ポイントは、もっとずっと手前の「基礎学力」にあります。それがないから、かなりわかりやすい参考書を読んでも理解できないのです。

中学受験は、基礎学力を身につける機会として有効に機能しています。必然的に、中学受験をする子どもが多い都市圏が有利なのは否めません。

逆にいえば、中学受験を経験していない子は、まず中学受験時の基礎学力を身につける必要があります。

たとえば、前述の磐城緑蔭中学校の場合、中1の1学期は徹底的に中学受験用の計算問題や国語の読解問題に取り組んでもらうようにしています。英語であれ、数学であれ、国語であれ、この基礎学力を身につけるという過程が重要なのです。

中高一貫は大学受験の勉強の計画が立てやすい

■中学受験をせずに、東大を目指すときのポイント

中学受験の経験者が中1時点で有利に立っているのは間違いのない事実です。

中高一貫校が基本的に恵まれていると思うのは、勉強の計画が立てやすい点です。

高校受験をする人は、どうしても中3時点で高校受験勉強に多くの時間を割くことになります。なかなか高1の勉強を先取りしようという発想に至らないのです。

ただし、中学受験に向かない子もいます。

中学受験の算数は抽象思考の能力が高い子が有利であり、残念ながらこうしたセンスに乏しい子もいます。受験に向かない子に無理をさせても、かえって自信をなくし、「自分は頭が悪いのだ」という劣等感を持ちかねません。

中学以降では、数学の問題を解くときに方程式が使えますから、抽象的な発想やひらめきがなくても愚直に解法パターンをマスターすれば、ある程度の点数は獲得できます。

中学受験と比べれば、高校受験や大学受験はひらめきが必要とされない。

まずは、この点をよく理解しておくべきです。

また、無理矢理上位校に最下位合格したがゆえに、入学後に劣等感を抱えて苦しむタイプの子もいます。

上位校で下位に甘んじている子と、中堅校でトップクラスの子を比較すると、後者のほうが東大進学率が高い印象があります。やはり、「勉強ができる感」を持ち続けることは受験においてプラスに働きます。

中高一貫校でなくても、今のご時世は、独学でも勉強できる手段はたくさん用意されています。

たとえば、動画を利用した高校生向けの予備校の授業を、地方の中3が受講したいと申し込んだら、おそらく断られることはないと思います。

また、できる子であれば、中学生にもわかりやすい高校生向けの参考書などは、数多く出されています。

中学受験を経験せずに東大を目指すなら、勉強に対して前向きな校風の高校を選ぶべきです。勉強ができるといじめられるような高校ではなく、むしろ勉強ができるとモテるよしかも宿題をなるべく出しすぎない学校が望ましいといえます。

自分のペースで自分に必要な勉強に、ピンポイントで取り組む時間を確保できるからです。

どうしても塾や自宅で勉強ができない場合は、ある程度、強制力のある学校で学力をつける方法もあるでしょうが、現実的には学校の宿題だけで東大を目指すのは困難であると知っておくべきです。

和田 秀樹

和田秀樹こころと体のクリニック 院長

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