海外の大学に進学する高校生が珍しくなくなってきました。今春、延べ222人(6月現在)の海外大合格者を出したのは、私立中高一貫校の広尾学園中学高校(東京)。2020年の合格者数79人に比べ、2.8倍と大幅に増えました。増加の背景には、「グローバルに評価される学校」を目指して同校が進めてきた、さまざまな活動・行動の積み重ねがあるようです。担当の植松久恵教諭に聞きました。
【話を聞いた人】広尾学園中学高校インターナショナルコース統括長 植松久恵さん
(うえまつ・ひさえ) 2009年に社会人募集で広尾学園中学高校へ。英語教諭。2012年から現職。
中学から英語スタートでもOK!
今までやってきたことが実を結んだ印象です。2017年卒業生の海外大の合格者は延べ18人。それが18年に82人、19年74人、20年79人で、21年は222人に。5年も経たず、10倍以上増えました。生徒が本当によく頑張りました。多くが米国やカナダ、英国の大学。今春は米プリンストン大のほか、米カリフォルニア大バークリー校などにも合格を果たしました。
今春の卒業生が中1だった2015年度に米国の大学を訪れるツアーが始まりました。後述しますが、在学中に世界の175の大学が集まる「カレッジフェア」が校内で開催されたり、米国の大学の教養レベルの授業が受けられ、入試にも有利になる「アドバンスト・プレイスメント」が始まったりしたことも大きかったと思います。生徒の努力にプラスして、環境が整い始めたことが大きいのではと思っています。
――インターナショナルコースについて教えてください。
1学年の生徒数は約270人。このうち、インターナショナルコースの生徒が40人程度で、海外大進学の中心です。
インターナショナルコースは、前身の順心女子高が共学化し、広尾学園中学高校となった07年にできました。中学段階では「AG(Advanced Group)」と「SG(Standard Group)」にわかれ、AGは帰国生やインターナショナルスクール出身者など、すでに英語力のある生徒のためのコース、SGはこれから語学力をつけていくコースで、SGの生徒の多くは中学から本格的に英語を学びます。
「中学入学時に英語がゼロでも、海外に行きたい夢をかなえられる」と考えてコースを作っています。SGコースの英語はbe動詞からのスタートで、1学期の中間テストまでは他のコースと同じ進度で進めます。中間テスト後から進度を速め、中2の終わりまでに中学の学習内容は終わるように設計しています。週3回、50分の英会話の授業があり、毎朝10分間の「0時間目」も設けて英語で話す時間を作っています。SGの生徒たちは、中学受験でとても頑張ってきた生徒たち。努力もでき、勉強の勘どころもわかっているので、英語力が高いAGの生徒といい刺激を互いに与え合っていると感じます。
高校からはAGのみのコースとなります。中学は日本語の教科書を英訳したものを使っています。高校からは、海外で出版されている教科書も使用しています。
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