「中1ギャップ」や「中1の壁」という言葉が取り沙汰されるように、同じ義務教育でも小学校と中学校では部活動や制服の有無など学校生活全般がガラリと変わります。中でも特に違うのがテストです。
小学校では、カラーテストと呼ばれる単元ごとのまとめテストが頻繁に行われます。一方、中学校では定期テストや実力テストなど出題範囲の広いテストが主流となります。
すると、小学校ではそこそこ出来が良かった子でも中学に入ると思うように点数が取れなくなるケースが出てきます。それは一体なぜなのでしょうか。
■一夜漬けでは太刀打ちできない
小学校のテストは学習した内容を児童が理解しているかどうか把握する意味合いが強く、出題される問題のレベルも中位層が解けることを想定していることが一般的。真面目に宿題をこなすなど、家庭学習が習慣化している子は高得点を取りやすい内容といえるでしょう。
しかし、中学生になると部活動などに時間を取られることもあり、自由時間が減ってきます。そうした生活時間の大きな変化のなかでも継続的に勉強に取り組まないと、中学校のテストに立ち向かうことはできません。
単元が終わるとその都度テストをする小学校とは違い、定期テストは1日または2日間といった短期間で実施することが多く、テスト範囲が広くなります。そのため、毎日の勉強はもちろんのこと、試験に向けて計画を立てて対策をしていくことが必要になります。
そして、高校進学の際は「自分の学力を考慮して志望校を受験する」ことになります。つまり、同じ義務教育でも中学校ではテストそのものやテスト成績の重要性が増し、進路決定に大きく影響するようになるわけです。
中学校に進学した本人が「小学校で80点、90点取れているから大丈夫」と安心していたり、親の方も「うちの子は家庭学習の習慣があるから」と小学校の時と同じ感覚でいると、定期テストで思うように点数が取れずショックを受けるケースが少なからず出てきます。
■理科や社会も軽視できない
小学校で英語が教科化されたとはいえ、やはり本格的に英語を学ぶのは中学校入学後です。また、算数が数学になることもあって英語と数学は目玉教科扱いされます。
筆者が個別指導形式の塾で仕事をしている時も、普段は英語と数学、季節の講習会では他の教科を勉強するという生徒がほとんどでした。
では、理科と社会は簡単なのかというとそうではありません。基本となる事柄は小学生時代に学んでいますが、中学ではさらに内容が深くなり、覚えることが増えます。つまり、理科と社会を軽視していると痛い目に遭いかねないということです。
特に小学生時代の学びが不足していると、難易度が高くなる中学の学習で最初からつまづいてしまいます。そして中学1年の時点で理科と社会の基本的な知識の抜けがあると、後々挽回することにも力を入れなければなりません。
中学のテストは範囲も広く、成績の差を出すために公立学校でも簡単な問題のみが出されることは稀です。そのため、日頃から5教科をまんべんなく予習復習し、毎日しっかり勉強していないと、テストで良い結果を残すことが難しくなります。
しかし、中学生全員が毎日コツコツ勉強できるわけではなく、小学生の時のような点数を取れなくなる生徒が出てくるのです。
■挽回するには相当な努力が必要
「小学校ではもう少し点数が取れていたのに」という場合、嘆いてばかりでは現状改善はできません。中学の先には高校があり、義務教育ではない高校に進学するには受験を突破することが必要です。
もちろん、部活動等での活躍で推薦入学を果たす生徒もいますが、通常は入学試験です。志望校と自分の学力の差が離れていれば覚悟を決めて勉強するしかありません。
学力の土台は小学校からの積み重ねによって築き上げられます。どこか少しでも抜けていると中学で思うように成績が上がらなくなるため、抜けている単元を復習しつつ中学入学後の内容もしっかり学ぶ努力が求められます。
小学校の時とはテストの意味合いがガラリと変わることを理解しつつ、中学入学後の学習スタイルを確立することを親の方も意識する必要があるでしょう。
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