受験で損するかも… 参加した方が良いオープンキャンパスのプログラム3選(石渡嶺司) – 個人 – Yahoo!ニュース – Yahoo!ニュース

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◆今年は事前予約制・人数制限とオンライン併用が急増

オープンキャンパスとは、大学・短大・専門学校などが、自校を開放してアピールする進学説明会のことです。高校生にとっても、進学先がどのようなところか、知っておいて損はありません。コロナ禍に見舞われた昨年は、多くの大学がオープンキャンパスを中止またはオンライン開催としました。感染リスクを恐れて、というのもありますし、そもそも、大半の大学は一般学生の入構を禁止としていました。

では、今年はどうでしょうか。

ワクチン普及や感染対策などが認知されてきた、ということもあり、2020年に比べるとオープンキャンパスを実施する大学は増加傾向にあります。

大学からすれば、「やはり実際に見てもらったうえで志望校とするかどうか決めてほしい」という思いが強くあるからです。

青森公立大学のキャンパス(著者撮影)。実際に行かないと雰囲気が分からない

ただ、コロナ禍の前に戻ったか、と言えばそうではありません。

対面式であれば、事前予約制としたうえで人数は制限する方式が主流となっています。

そして、対面式を実施する大学でもオンライン開催の併用を選択する大学が増えました。

例えば近畿大学はその一校です。

令和2年度(2020年度)は新型コロナウイルス感染拡大に配慮し、「CLOSE CAMPUS」と題して、完全オンラインで開催しました。今年は、コロナ禍で先行きが不透明な中でも、受験生に可能な限りキャンパスに来ていただくため、「やれるだけやる」という思いで準備を進め、参加者には「行けたら行くわ」という気持ちで状況に応じて参加方法を選択していただけるよう、キャンパス来場型とオンラインのハイブリッドで開催しています。なお、医学部は8月8日にオンラインのみで開催します。(近畿大学広報室)

近畿大学は2019年は、「大阪のユニバといえば近大やろ」のコピーのもと、

1日あたりミニ講義・イベントは150以上実施。結果、総来場者数 4万2802人(3月、7月、8月、9月計)でした。

しかし、今年2021年は「1日の来場者数が5000人を超えないように来場予約を制限しています」(近畿大学広報室)とのことです。

近畿大学オープンキャンパスのポスター

◆満席の場合、どうする?

事前予約制・人数制限の場合だと、その受け入れ人数は受験生が想定するよりもはるかに下です。コロナ禍以前の来場者数に対して3割から半分程度とする大学が多数です。

そのため、予約受付日から数日で満席となる大学もあります。

もし、オープンキャンパスの参加希望日の予定が不明でも、ひとまずは予約しておいた方がいいでしょう。

そのうえで、別の予定が入るようなら、キャンセルの連絡をしてください。

逆に、参加希望であるにもかかわらず、満席となった場合はどうすればいいでしょうか。

対策としては「オンラインに切り替える」「前日までダメ元で連絡」「他大学のものに参加」の3点です。

1点目は、オンライン参加に切り替え。特に対面・オンラインを併用する大学の場合、オンライン開催のプログラムに参加するといいでしょう。

大阪体育大学のWEBオープンキャンパス(サイトより)。対面式で参加できなくても対面式とオンラインを併用する大学が2021年は増加

2点目「ダメ元」ですが、大学入試課などに「満席だったのですが、なんとか参加できないでしょうか?」と電話などで連絡してみてください。

国立大学や大規模な私立大学の場合、こうしたキャンセル待ちを受け入れだすと収拾がつかなくなるリスクが出てきます。そのため、ダメ元での参加依頼も断るところが多そうです。

一方、「そこまで言ってくれるのであれば」として、参加を認める大学もあります。このあたりは、実施大学やオープンキャンパスの担当者によって大きく分かれますので、文字通り、ダメ元で参加依頼をしてみてください。

3点目ですが、他大学のオープンキャンパスに参加することです。たとえば、国立大学文学部を志望していて、その大学のオープンキャンパスに参加できなかったとしましょう。その場合、空席のある私立大学で文学部のオープンキャンパスに参加してみてください。もちろん、大学の雰囲気などはわかりませんが、学部概要などの情報は入手することができます。

◆参加した方がいいプログラム・1~学部・学科別の概要説明

次にコロナ禍のオープンキャンパスで参加すると得をするプログラムを3点、ご紹介します。

1点目は、学部・学科別の概要説明です。これは、その学部・学科で何を学べるのか、どんな学生を育てようとしているのか、あるいは就職先などを説明するプログラムです。

お勧めする理由は、まず、その学部・学科の内容がわかること。そして、意外かもしれませんが、その学部・学科を志望する際、入試の結果につながる可能性が高いからです。

2010年代以降、大学入試改革が進みました。各大学は、それぞれの学部・学科でどんな受験生を欲しいか、あるいは、その学部・学科(または志望分野)が社会問題にいかに貢献できるか、入試で出題するようになりました。特に総合型・学校推薦型入試(旧・AO・推薦入試)では、小論文テーマの題材となることが増えています。

単に志望校候補とするかどうかだけでなく、入試で有利になるためにも、学部・学科別の概要説明は参加した方がいいでしょう。

◆参加した方がいいプログラム・2~受験対策講座・模擬面接

2点目は受験対策講座です。なお、これは模擬面接も含みます。

オープンキャンパスにおける受験対策講座は、大学近隣の予備校・塾講師(または入試担当の教職員)が、その大学での入試傾向などを伝授するプログラムです。

もし、予備校・塾であれば、有料であってもおかしくない内容、それがオープンキャンパスになると無料です。

しかも、傾向と対策まで教えてくれるわけですから、参加しただけで偏差値が数ポイントアップするに違いありません。

九州産業大学公式YouTubeチャンネルの入試説明ムービー。動画で解説する大学も増加中

それから、総合型・学校推薦型志望者向けの模擬面接も見逃せません。

各高校でも、模擬面接の機会は当然あります。しかし、どうしても普段接している教員が面接官役なので、緩みが出てしまうことは否定できないでしょう。

その点、オープンキャンパスでの模擬面接はどうでしょうか。面接官役はその大学の教職員です。普段接点がない社会人相手の模擬面接ですから、その緊張感は高校実施のものとは大きな違いがあります。

しかも、終了後に、どこが良くてどこを改善すればいいのか、フィードバックもしてくれます。

もし、参加したオープンキャンパスで実施していて、かつ志望校であれば、受験対策講座や模擬面接は参加しておいて損はありません。

◆参加した方がいいプログラム・3~相談コーナー

3点目は相談コーナーです。大学教職員や先輩学生が担当し、受験生の質問に答えるプログラムであり、対面式だと、結構な確率で空いていることがあります。

高校生に話を聞くと、「何を質問すればいいかわからない」「変な質問をすると怒られそう」「そもそもそこまで志望度が高いわけではない」などの理由が大きいようです。要は、知らない社会人や学生にあれこれ話すのが嫌、ということでしょう。

私が参加をお勧めするのは、まさにその点にあります。

オープンキャンパスの相談コーナーは、志望度が高くない、あるいは、その大学・学部・学科のことに詳しくない受験生が来ても対応するようにしています。

志望がはっきりしていなくても、進路についてきちんと答えてくれるわけで、高校生にとって損にはなりません。

大阪大学オープンキャンパス(サイトより)。入試課職員及び現役学生による「オンライン個別進学相談」はオープンキャンパス開催期間中も実施(相談希望日の前日までの予約が必要)。

もう一点、相談コーナーであれこれ話すことによって、無意識のうちに対社会人のコミュニケーション能力が上がります。総合型・学校推薦型で受験する場合、面接があります。この面接の面接官は当然ながら、その大学の教職員です。対社会人のコミュニケーション能力が高ければそれだけスムーズに話すことができます。

つまり、相談コーナーへの参加は、広い意味では受験対策にもなります。

なお、オンライン開催の場合、YouTubeライブなどで、チャット欄に質問を記入し、それに答えてもらう形式も増えています。こちらだと、質問が活発に出るようです。

◆正直、どうでもいいプログラム~キャンパスツアーと学長挨拶

一方、参加してもしなくてもどちらでもいい、と私が考えるプログラムもあります。

大きなところだと、キャンパスツアーと学長挨拶でしょう。

キャンパスツアーはオープンキャンパスの目玉プログラムであり、参加を希望する受験生も多くいます。

ただ、過去に見て回った経験から言いますと、そこまで重要か、と疑問に感じます。

まず、キャンパスを見たければ、オープンキャンパス当日に勝手に見て回ればいいはず。しかも、各ポイントに学生スタッフや大学教職員がいますので、必要なら、案内を頼めば、そのポイントの案内はしてくれます。

その点、キャンパスツアーであれば、大人数ですし、後ろにいるとほぼ話が聞けません。

なお、人数制限が必要な施設見学を含むキャンパスツアーであれば、参加した方がいいでしょう。

学長挨拶は、対面式のオープンキャンパスで冒頭に持ってくる大学が多くあります。が、話す内容はそれほど大したものではありません。特に総合大学の場合、あれもこれもアピールしようとするあまり、何が言いたいのかよくわからなくなることもあります。それから、私立大学だと学長の自慢話で終始することもそれなりにあります。

そもそも、私立大学だと、学長挨拶はビデオで流すことで対応するところも多く、それをわざわざプログラムに入れ込んでいる時点で、自己顕示欲が強い、と言わざるを得ません。

出入り自由の対面式の場合、学長挨拶は無理に参加しなくてもいいでしょう。

例外は単科大学と国立大学です。単科大学の場合、学長挨拶は実質的には学部概要などを含むことが多々あるからです。

国立大学だと、私立大学よりは自慢話で終わるケースが少ないです。それよりも、どんな学生が欲しいのか、アドミッションポリシーを意識した挨拶が多いので聞いておいた方がいいでしょう。

コロナ禍が続く中でも、オープンキャンパスは進路選択で重要なイベントです。よりよい大学生活を送るためにも、受験を有利にするためにも、オープンキャンパスに参加するようにしてください。

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】

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