中学の4割以上、高校の7割以上が、スポーツ庁のガイドラインで定める活動時間を超過――。

 日本スポーツ協会は15日に公表した「学校運動部活動指導者の実態に関する調査」で、こんな部活動の現実を明らかにした。

 全国の中学校と高校計453校から回答を得た。スポーツ庁は2018年に策定した「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」で、週2回以上の休養日(平日、休日1日ずつ)を設けることを求めているが、中学校は81%が順守していた一方、高校は41%にとどまった。

 また、ガイドラインは、活動時間の上限を平日2時間、休日3時間とし、週当たり計11時間が上限とみなせる。だが、超えていなかったのは、中学校が58%、高校はわずか26%だった。

 長時間の活動の是正は道半ば、という結果に、同協会の指導者育成委員長を務める元バレーボール米国代表のヨーコ・ゼッターランド常務理事は記者会見で、「大会を目指し、活動を増やしたい気持ちはわかるが、私の経験からも、熱心な指導はオーバーワークを呼びがちなので、指導者のみなさんには、休養も大切なことを理解してもらいたい」と話した。

 教員からは4979人から回答を得た。担当教科が保健体育ではなく、かつ顧問や副顧問として担当している運動部活動の競技経験がない教員は、中学が27%、高校で25%。14年の同じ調査(中学は46%、高校は41%)と比べ、大幅に減少した。

 ただ、同協会の活動推進課によると、今回の調査は前回の回答数(8537人)から大幅に回答数が減っているという。「保健体育以外の教員の回答へのモチベーションが低かったということかもしれない。動向を注視する必要がある」としており、専門性を持たない教員の負担が減ったとは言い切れないという。

 同協会の公認スポーツ指導者資格を保有している教員は、中学が10%、高校が20%に過ぎなかった。保有していない教員の資格取得希望も、中学24%、高校25%にとどまった。

 資格取得促進につながるものを聞くと、中高とも、受講料の減免と集合講習参加を公務扱いにすることが挙がった。活動推進課は「オンラインによる研修の機会を増やしていきたい」と話した。

 また、17年度から、顧問がいなくても練習の指導ができ、試合にも単独で引率できる部活動指導員制度が始まった。学校外から任用し、教員の負担軽減などが目的だが、部活動指導員を「依頼している」と答えたのは、中学が9%、高校は12%のみだった。

 地域の人材との連携がまだまだ不十分という結果が出た。同協会は「現在も運用している、公認資格を持つ地域の指導者とのマッチングサービスの利用を促進したい」と課題を挙げた。