「仕事ができない人」に見受けられる8つの要素 – ニュース・コラム – Y!ファイナンス – Yahoo!ファイナンス

「仕事ができない人」に見受けられる8つの要素-–-ニュース・コラム-–-y!ファイナンス-–-yahoo!ファイナンス 教育関連ニュース

14:01 配信

東洋経済オンライン

仕事ができる人には数多くの優れた能力がありますが、その中でも論理的に考える力は社会人としては必須能力と言えます。ただ、論理的にものを考えるのが苦手という人が少なくないのも事実。そこで本稿では、数学系ユーチューバーとして登録者数 14万人、累計再生回数は 5000万回超と、絶大な人気のある鈴木貫太郎氏の新著『中学生の知識で数学脳を鍛える』から、論理的思考が苦手な人の共通点と、どうすれば論理的な考えか身に付くかを紹介します。

■「数学的な考え方」を身につける意義

 私は数学系のユーチューバーとして毎日数学をテーマに動画を投稿しています。人類の至宝と言われる「オイラーの公式」を中学生の知識で理解するという動画や、大学入試の問題を解説する動画を毎日アップしているので、ご覧になった方がいらっしゃるかもしれません。

 かつて私は数学の講師として中高生を指導していたこともあり、数学ができない人、苦手な人とも数多く出会ってきました。そんな生徒たちからは「数学は何の役に立つのか」という質問を何度も受けてきました。

 確かに数学に携わる人を除けば、社会に出て学校で習った数学を直接使う機会などほぼないでしょう。それなのに数学を習うのはなぜか。それは「数学的な考え方」を身につけることに大変な意義があるからだと思います。

 私は「本質を捉えて理解する」という数学的な考え方ができる人のことを「数学脳を持っている」と定義してみました。それは端的にいうと、合理的で筋の通った考えを組み立てることができる人のことを指しています。論理的な考え方ができる人とも言えます。

 数学では定義から導かれた定理、公式を使って、答えにアプローチしていくプロセスがとても重要です。その論理的な積み重ねこそが数学には必要だからです。裏を返せば、数学ができる人とはそうした積み重ねを練習してきた人とも言えますし、論理的な考え方ができる人とも言えるのです。

 数学ができなくとも論理的な考え方ができる人はいますが、数学ができるのに論理的な考え方ができない人はそうはいないでしょう。数学を学ぶ意義とはそうした考え方を養うところにあるのだと思います。数学を学ぶことで思考力を鍛えることは、論理的な考えを身につけることにつながるので、社会人として仕事ができる人にとってはとても重要なことといえるわけです。

 では、数学ができない人は社会で役に立たない人なのでしょうか。ネット上でも「数学は社会に出て役に立たないが、数学ができない人は社会で役に立たない」というような言葉を見かけたことがありますが、それは違うと思います。

■数学ができな人の8つの特徴

 「社会で役に立たない」人と聞くと「国家の維持・発展に寄与していない」私のような人間がまっさきに思い浮かんでしまいますし、世の中に貢献しない人は生きる価値がないかのような印象を抱かせてしまいます。ただ「数学ができない人は仕事ができない可能性が高い」と言い換えればおおむね賛同できます。それはなぜかをお答えするには、数学ができない人とはどういった人かを考えてみるとわかりやすいと思います。

 数多くの生徒を見てきた私だからこそ言い切れる、数学ができない人の特徴は8つあります。それは、

1. 定義をおろそかにする

2. 「やり方」だけを覚える

3. 「なぜそうなるか」を考えない

4. 工夫をしない

5. ミスに気づけない

6 大局的に見られない

7 帰納法的思考をしない

8 条件を見落とす

 です。1つひとつの説明は割愛させていただきますが、数学が不得意、できない、苦手という人の多くはこの8つのうち複数に当てはまることが多くあります。これってまさに仕事ができない人の条件そのものではないでしょうか。

 ではどうすれば数学脳になれるのでしょうか。それは非常に簡単なことです。上記の8つのことの「逆」を意識することです。例えば、「定義をおろそかにしない」。

 定義とはとても大切なものです。数学において定義は物事の本質とも言えるもので、本質を理解するということは問題を解く上でのスタート地点とも言えます。そこがしっかりしていないのは、土台がグラグラな状態で建物を建てるようなものです。

 東大の伝説の入試問題と言われる「円周率が 3.05 より大きいことを証明せよ」という 2003年の問題があります。これは定義がどれだけ大切かを明確に示した、非常にいい問題と言えるでしょう。この問題の正答率はそれほど高くなかったそうです。

 東大の入試では満点を取る必要がないため、難易度を瞬時に判断する能力も問われます。多くの受験生がこの問題を「捨て問」と判断した結果、得点率が低かったのでしょう。しかし、この問題は「円周率」の定義(直径に対する円周の割合)さえ意識すれば簡単に解ける問題なのです。

 入試としてこの問題が出題された背景としては、当時小学校で「円周率を3にするかどうか」という議論がありました。ゆとり教育が導入されたときのこの議論に対してのアンチテーゼの意味合いもあったのだと思います。日本一の大学の入試問題にこうした問題が出てきたということからも「定義を大切する」ということの重要さがわかるかと思います。

 ・1メートルってどうやって決められたのだろう

・なぜ何かの0乗が0じゃないのだろう

・なぜ分数の割り算ってひっくり返すのだろう

・なぜ掛け算や割り算の筆算ってあのように計算できるのだろう

 このように1つひとつ何気なく普段使っている数字に対しても「なぜそうなったのだろう」と定義や、その仕組みをしっかりと考えることは論理的な思考力を鍛えることに直結するのです。

■数学問題を解く「プロセス」が重要

 ここまで辛辣に指摘してきた私ですが、実は私、完全に勉強から逃げていた時代がありました。高校受験に燃え尽きて高校生活ではまったく勉強はせず、試験は 456 位中 456 位のドベ。数学も 0 点を取っていたりと、完全な落ちこぼれだったのです。高校を卒業してからようやく大学受験の勉強を始め、2浪した末に早稲田大学に入学しました。

 大学に在学中に始めた塾講師の仕事がきっかけで、その後の私は数学にどっぷりと浸かることになります。教え子のために予習、受験問題を研究する日々が続き、中学受験・高校受験の算数・数学にはかなり精通しました。その後シンガポールやロンドン、スロベニアなどで数学を教える機会があり、その都度自分に足りなかった数学の領域を勉強していきました。その勉強を忘れないようにしたいという意味もあって始めた動画投稿が、今に続くユーチューブ動画です。

 私の動画では難関大学入試の問題や、私がオリジナルで作成した問題などを授業形式で解説しています。その多くは公式や定理をしっかりと理解した上で解いていきます。数学では問題を解く際、必ず上記で挙げた8つの逆を使います。つまり、どんな問題であっても、解答するプロセスでこうした思考を養っているわけです。

 論理的に考えるとは言い換えれば、自分の頭で考えるということでもあります。世の中では数学のように決まった答えがつねにあるわけではありません。そこには自分で考えて、自分が正しいと思った答えを見つけていくほかないわけです。

 「やり方」だけを覚えていても、目の前に立ちはだかる問題はつねに同じではありません。今の時代なんて最たるものでしょう。そんなときに自分らしい答えを、自信を持って提示できるようになるためにも、数学を学ぶということは非常に意義のあることだと思います。

東洋経済オンライン

関連ニュース

最終更新:7/19(月) 14:01

東洋経済オンライン

Powered by the Echo RSS Plugin by CodeRevolution.

タイトルとURLをコピーしました