エアコン、ほぼ全校に 猛暑受け整備加速 静岡県内の小中高普通教室|あなたの静岡新聞 – @S[アットエス] by 静岡新聞

花のつくりとはたらき

 静岡県内の公立小中高校で6月末までに、普通教室のエアコン設置率がほぼ100%に達した。近年の猛暑を受けた国の補助金などにより、県内でも急速に整備が進んだ。県教委や各市町教委によると、来年4月に統合する下田市の3中学校17室と本年度末に廃止される静岡市立高定時制の1教室を除き、夏季の準備が整った。

静岡県教委の整備で新たに設置された普通教室のエアコン=6月下旬、静岡市清水区の県立清水西高

 静岡市清水区の県立清水西高では昨年冬から新たに5教室で設置工事が行われ、7月から使用が始まった。各学級で使う教室は10年前の創立100周年事業で設置されたが、英語や数学の習熟度別授業で使う教室が未設置だった。3年川口星雅さん(18)は「授業で使うと熱がこもって本当に暑かった。エアコンがあると集中力が全く違う」と喜んだ。植野秀樹教頭も「生徒以上に動き回る教員も大変だった。多集団の授業展開がしやすくなる」と歓迎した。


 県立高のエアコンはこれまで、同窓会や後援会の支援で設置されてきた。県教委は特別支援学校の整備を先行した後、2020年度から県立高57校で未設置の普通教室735室を対象に工事を実施した。高校は国の補助金の対象外のため、県予算で充当した。今後は再編による新築や老朽化対策の建て替えでも全普通教室に設置していく。


 小中学校は文部科学省の20年9月の調査によると、県内29市町が設置率100%と回答した。設置未完了は静岡、浜松、磐田、下田、裾野、西伊豆の6市町で、このうち静岡、浜松、裾野の3市は20年度末に工事が完了した。21年4月には磐田市、西伊豆町も100%に達した。磐田市は1小1中が同じ建物に入る「ながふじ学府小中一体校」の開校に伴い、全市で整った。


 下田市は今夏、市立4中学校のうちエアコンのない3校に、昨年度に続いて大型扇風機を設置する。市教委の担当者は「特に受験を控える3年生には申し訳ない。体操服での授業など無理のない対応をお願いしたい」と話した。22年4月に4校が統合して開校する新下田中には全教室に空調が完備される。


 (政治部・杉崎素子)

 ■特別教室 全国平均下回る 小中32.5% 高校36.6%


 普通教室のエアコン整備が進んだ一方、理科室や家庭科室などの特別教室の設置率は全国平均を下回っている。20年9月の文科省の調査では、特別教室の全国平均が小中学校55・5%、高校46・8%だったのに対し、県内は小中学校が32・5%、高校が36・6%にとどまった。


 小中学校で設置率が100%なのは長泉、吉田の2町。13・6%の静岡市は、PTAからの寄贈のほか、近隣への騒音の配慮で窓を開けられない音楽室で例外的に設置されているのみという。磐田市などでは施設一体型の小中一体校や統合による施設整備に併せて設置が行われている。


 県立高でも、騒音対策のほか熱のこもるパソコン室など一部の特別教室に設置されているが、今後の整備は未定という。県教委教育施設課の担当者は「高校は実習室などの特別教室が多く、学校により使用頻度や優先順位が異なる。計画的に整備するため設置の基準を検討したい」としている。

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