愛知県一宮市の市立中学校で6月、20代の女性教諭が授業中や休み時間に2年の女子生徒を廊下に約30分間立たせて注意するなど不適切な指導をし、学校が生徒本人や保護者に謝罪していたことがわかった。調査した市教育委員会は教諭を注意し、指導する方針。

 市教委や学校、保護者によると、午後の5時間目の授業で理科担当の教諭は、国語のプリントが机の上にあった女子生徒に「その勉強をするなら後ろに行きなさい」と注意。生徒が嫌がると廊下に出るよう指示し、「なぜ別教科のプリントがあるのか」「何が悪かったか分かるか」などと叱責(しっせき)した。生徒は「わざとじゃない」と泣き出し、2人とも教室に戻らないまま5時間目が終了。ほかの生徒たちは自習していたという。

 休み時間に入ると、職員室近くでこの生徒を待たせ、2人で廊下の一角に移動。いすに座らせ、さらに説明を求めたという。こうした「指導」は学年一斉の小テストがある6時間目に食い込んだ。

 教諭は生徒に注意を始める前、教卓に数学の教材が置いてあったことなどについてクラス全体に注意。この際、生徒は下を向いていたため、「自分への反発と思った」と校長や市教委に説明した。生徒は昼休みに取り組んだプリントをしまい忘れており、「先生に見つかって怖くて下を向いていただけなのに、みんなに聞こえるように注意され恥ずかしくて逃げ出したかった」と話したという。

 生徒は翌週、教諭の授業の際、保健室で学習した。教諭や校長は保護者の抗議を受けて「配慮に欠け不適切だった」と謝罪。学年集会でも経緯を説明した。理科の教科担任は変更したという。

 生徒の母親は取材に対し、「子どもの気持ちを全く考えない一方的な指導は受け入れられない」と語った。学校に指導主事を派遣した市教委は「長い時間立たせており、過剰な指導。何のために指導するのかを考えさせたい」(学校教育課)としている。

 一宮市の別の中学では2017年に3年男子生徒が「担任に人生全てを壊された」などと書き残して飛び降り自殺。両親が市に損害賠償を求めた訴訟は7月、和解のめどがついた。(荻野好弘)