いま中国で「日本語学習者」が急増中、そのウラには「意外な理由」があった(現代ビジネス) – Yahoo!ニュース – Yahoo!ニュース

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「一発逆転」を狙える

 1つ目は、前述した通り、日本語を選択するほうが、英語よりも比較的簡単に高得点が取れるからだ。日本語には漢字が多く、中国人にとって最もとっつきやすい言語だ。さらに、高考の日本語受験に必要な語彙数は約2000と英語に比べて少なく、試験の難易度も低い。

 高考の日本語試験はヒアリング、語彙・文法、読解、作文(300~500文字)の4つだが、英語よりも受験者の平均点が高く、日本語をがんばれば、総合点も大幅にアップする。中国でカリスマ日本語教師として有名な笈川幸司(おいかわ・こうじ)氏によると「高校入学後に一から学び始めても、1~2年間の勉強で受験に十分間に合うレベルにまでもっていくことが可能」だという。

 一方、英語は小学1年からの義務教育だ。都市部では英語塾に通うことも常識化している。高考の英語の難易度も高く、英語で高得点を取るには、幼い頃からの学習の「積み上げ」が必要だ。その上、英語では高得点者が続出するため、ほかの受験者と差をつけることが難しい。

 だが、日本語を選択すれば、そんな「積み上げ」がなくても、短期間の学習で、英語で受験するよりも高い点数を取れる可能性がある。英語で挫折していたり、英語を苦手としていた受験生にとって、日本語はまさに「救世主的」な存在なのだ。

 このように、日本語選択者が急増した背景にあるのは、中国独特の入試制度だ。やや専門的な話になるが、高考は全国統一試験といいながらも、各省によって試験問題は一部異なっている。各大学の合格ラインとなる点数や合格者数も受験者の出身省ごとに割り振られており、その仕組みは非常に複雑だ。

 基本的に人口が多くて地元に大学が少ない省(河南省、広東省など)は不利、人口が多く大学も多い北京市や上海市、経済発展が遅れている青海省、チベット自治区などは有利といわれており、省ごとの受験難易度のリストも存在する。

 そうしたことがあるため、他の受験科目でも同様だが、もし英語で勝負するなら、幼い頃から塾で勉強してきた学生や、合格ラインが低い省に住んでいる学生のほうが有利となる。そのため、たとえ自分自身は高得点が取れたと思っても、志望校に合格できない場合があるのだ。

 しかし、日本語ならば、試験問題は現時点では全国同一。どの省に住んでいようと同じ問題が出る。しかも前述の通り、日本語は中国人にとって「勉強しやすい」言語だ。英語で受験する代わりに日本語で受験したことによって、総合点が数十点もアップするという可能性もある。言わば、「一発逆転」を狙える選択肢なのだ。

 その証拠に、全国的に見て受験難易度が高いといわれる広東省、浙江省などの“激戦省”では、この3年ほどの間に英語から日本語に鞍替えした受験生が急増した、ということが中国メディアの分析で証明されている。その反面、受験難易度が低いのに、学習環境が充実している北京市などでは、英語での受験者が圧倒的に多く、わざわざ日本語に鞍替えしようとする人は少ない。

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