誰が殺したのか。大阪小学生マスク死亡事故で責任回避する菅政権の大罪 – まぐまぐニュース!

基本問題

今年2月に大阪府高槻市の小学校で体育の授業後に亡くなった小学生が、マスクを着け持久走に臨んでいたことが明らかになり、一部で学校側の責任を問う声も上がっています。果たして批判されるべきは教育現場の最前線なのでしょうか。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では著者で健康社会学者の河合薫さんが、現場の指針となるスポーツ庁による通達が、内容の抜粋すら困難なものであるという事実を指摘した上で、問題は定まらない国の方針であるとして、責任回避を続ける政府を強く批判しています。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

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マスクをはずしたがらない子供たち

大阪の小学校で、マスクを着けて体育の授業を受けていた5年生の男児が、持久走の後に死亡していたことがわかりました。

報道によれば事件が起きたのは、2月18日のこと。5分間、自分のペースで走る持久走を終えたあと児童が倒れ、保健室に運んだのち亡くなったそうです。

学校ではマスクについて「体育の時は外しても良い」と児童に伝える一方で、「コロナ感染が心配な人は着けて良い」と指導していたとされています。

SNSでは子供に自己判断を任せた学校側に批判が相次いでいますが、そもそも国の方針がはっきりしていないのが問題です。

昨年5月にスポーツ庁が「学校の体育の授業におけるマスク着用の必要性について」を出しているのですが、内容が実にややこしい。内容を抜粋しようと試みましたが…無理です。興味ある方はこちらからご覧ください。

学校の体育の授業におけるマスク着用の必要性について

そもそも子供のマスクについては、昨年8月に世界保健機関(WHO)が「利用可能な限られたエビデンスに基づく」という前提の下、「5歳以下の子供にマスクは必要ない」としました。また、科学的根拠に基づいた対策が評価されているドイツでは「6歳以下の子供にマスクの着用義務なし」とし、14歳以上には大人同様FFP2マスク着用の義務を課しています。違反した場合はかなり高い罰金を払わなくてはなりません。

つまり、大人がマスクをきちんと着用することで、子供の成長過程への悪影響を最小限にとどめる努力をしているのです。

その上で、大人も含めた感染対策は、10万人当たりの新規感染者数によって対策メニューが決まっています。

メニューは「私的な集まり」「店舗・サービス業等」「レストラン、ホテル、娯楽・文化」「外出制限」「学校・保育施設」「ホームオフィス」に分かれていて、実に具体的に記されています。

例えば、基準値である10万人当たり100人を超えた場合、「レストラン、ホテル、娯楽、文化施設は閉鎖、スポーツは自身のみ、または2人、あるいは自身の家族のみと行うことができる」「午後10時から午前5時までの間は、仕事や医療など、正当な理由がある者だけが外出できる。午前0時までは、1人でのジョギングや散歩は認められる」といった具合に、「できないこと」だけではなく、「できること」もきちんと具体的に示されている。

小中学校でも同様のメニューと対策が決められていて、マスク着用に関しても感染状況により「校内移動はマスク着用」「校内の授業中はマスク着用」「体育は屋外のみで実施」「自宅でのオンライン授業」といった具合です。

もちろんこれはらすべて科学的根拠に基づき、政治家と専門家が徹底的に夜通しで議論して決めたルールです。

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がんじがらめになる、責任を取らされる現場

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