経済的理由から生理用品が十分に購入できない「生理の貧困」問題が全国的に注目されている。新型コロナウイルスの影響で収入が減るなどして生活に困窮する女性が増えているためだ。神奈川県内でも、無償配布などの取り組みを始める自治体や民間企業が増え、支援団体は「関心が高まっているのをきっかけに、背景にある問題を知ってほしい」と期待する。【高田奈実】
◇トイレに設置、無償配布も
県教委は1日から県立高と特別支援高校計12校で、女子トイレに生理用品を設置するモデル事業を始めた。洗面台付近などに箱を設置し、補充は教員や生徒が行う。
これまでは保健室で貸し出しをする形式を取っていたが、県教委が今年3月に養護教諭に聞き取り調査を実施した結果、生理用品の確保が困難な生徒がいるという意見が出た。モデル事業は8月末までで、ニーズを把握することが目的だという。保健体育課は「コロナ禍においてなるべく早く対応していきたい」と話す。
学校や役場での無償配布を始めている自治体もある。大和市は4月、全ての市立小中学校の女子トイレに生理用品を入れた巾着袋の設置を始めた。藤沢市では、市内在住者や市内の学校に通学する人を対象に、防災備蓄品の生理用品を無償配布している。配布場所は市役所や市社会福祉協議会などで、窓口に設置している専用カードを提示すれば誰でも提供を受けられる。相模原市でも、6月の議会で、市長が無償配布を検討していると回答。14日から市内の子育て支援センターなどで配布を始める。
◇当事者だけでなく、構造的な問題
川崎市男女共同参画センター(同市高津区)では、飲食店を経営する市内の企業「スタジオクリップ」などから寄付を受けた生理用品を無償配布している。相談窓口の連絡先情報が書かれたチラシも同封している。
同センターは「生理の貧困は当事者だけの問題ではない。元々の構造的な問題があると知ってもらい、解決に向けた取り組みを広げていきたい」と話す。
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