15歳のニュース 都立高入試 合格ラインが男女で違う!? 1000点満点で最大243点差 – 毎日新聞

15歳のニュース-都立高入試-合格ラインが男女で違う!?-1000点満点で最大243点差-–-毎日新聞 教育関連ニュース

 全国の都道府県立高校で唯一ゆいいつ、男女別の定員がある東京都立高校普通科ふつうか一般いっぱん入試。実は性別によって合格ラインがちがうことをキミは知っているか。毎日新聞が都教委の内部資料を分析ぶんせきすると、合格点の男女差が1000点満点で最大243点もあったり、男子の合格最低点を上回った女子20人が不合格とされたりした例もあった。

全国で唯一 男女別定員 公平?不公平?

 都立高の定員は、各校とも都内の公立中学の卒業生の男女比に応じて決まる。合否は中学校が提出する内申点(300点満点)と、国数英理社の筆記試験(700点満点)の合計で決めるが、合格ラインは男女で異なる。

是正措置の後でも…

 著しい格差を防ぐため、都教委は1998年の入試から、特に差が大きい傾向けいこうにある高校を対象に是正措置ぜせいそちをしている。定員の9割までは男女別に合否を判定し、残り1割は男女合同の順位で合格者を決めるもので、近年は普通科高校(約110校)のうち30~40校程度で実施じっししている。

女子は不利?

 2015~20年入試の是正措置の対象校(延べ199校)のうち、無回答などを除く184校の男女差を分析すると、是正後も約8割の153校で女子の合格ラインが上回っていた。都教委の担当者は「入試が男女別であることは周知しているので、受験生は合格ラインが異なることを理解した上で受けているはずだ」と制度自体に問題はないとの認識だ。

偏るとやりにくい?

 男女別定員の背景にはまず、現場の校長が見直しに慎重しんちょうな姿勢を示していることがある。男女別定員を廃止はいしした場合、女子が増えて男女比のかたよりが出て、教育活動や学校行事、施設に影響えいきょうが出るのではないかということだ。

 しかし、13年実施の入試から完全な合同定員制に移行した大阪府教委の担当者は「トイレなどの設備問題への対処、授業でのチーム分けの工夫くふうなどが求められたのは確かだが、どうしても解決できないものはなかった」と話す。

背景に多くの私学

 また、歴史的な背景として私学とのいもある。東京では男女別学だった戦前から、私学が女子教育を支えてきた歴史があり、今も多くの女子校がある。東京私立中学高校協会の長塚ながつか篤夫あつお副会長(順天中学・高校校長)は「一番の問題は男子の進路保障だ。私学に女子校が多い現状のまま、都立高が合同定員を導入すれば、都立高を不合格になった男子が行き場を失いかねない」とうったえている。

 受験生などはどう受け止めているのか。今春に都立高を卒業した女子大学生(18)は「女子同士の勝負だと思っており、おかしいと感じたことはない」とかえる。


君はどう思う? ちまたの声

 「不公平だと思った」と語るのは別の女子大学生(18)だ。3年前の受験では当初、ある都立高を目指したが、家計の事情から「何とか都立に行ってほしい」と親に言われ、本番直前に志望校のランクを下げた。ほぼ同じ成績の同級生の男子は合格したと知り、「自分が男子だったら志望を変えずに済んだのではないか」。また、都立高を卒業した男子大学生は「『この高校に通いたい』との思いがかなうかどうかが男女差で決まるのは憂慮ゆうりょすべき事態」と話す。

 一方で、現行制度の見直しに反対や慎重しんちょうな意見も少なくない。「男子校より女子校の方が数が多いという実情がある。共学校が女子の合格基準を厳しくしなければ高校進学は女子が有利」「定員を明示した上で男女差が出るのが問題なら、男子校や女子校自体許されない」――などの声があった。

 都立高の受験指導をしている学習塾がくしゅうじゅく代表は、100点以上の開きがある場合、「もはや同じ高校とは言えない学力差」と指摘してきする。


緊急アンケートミニ

Q合格ラインが男女でちがうのは……

 (1)ありだ (2)なしだ

 (3)どちらとも言えない

 ★理由・自由記述[     ]

 キミの意見と▽学校名・学年▽名前よみがな▽電話番号――を書いて、下記へ送ってください!

【送付先】「15歳・合格ライン」係

郵 便:〒100-8051(住所不要)

    毎日学生新聞編集部

メール:news15@mainichi.co.jp


 ■KEYWORDS

是正後ぜせいごやくわりの153こう女子じょし合格ごうかくラインが上回うわまわった】

 是正前は約9割の170校で女子の合格最低点が高く、男子との差は、(1)100点以上=27校(2)50~99点=41校(3)40~49点=31校(4)30~39点=27校(5)20~29点=26校(6)10~19点=8校(7)9点以下=10校。最大で女子の方が426点高い学校もあった。残り1割は男女が同水準か、男子の合格最低点の方が高かった。

 是正後も約8割の153校で女子が上回った。男子との差は、(1)5校(2)14校(3)5校(4)13校(5)34校(6)36校(7)46校――と全体的に縮小したものの、それでも最大で243点の差がみられるなど是正につながっていないケースもあった。

現場げんば校長こうちょう見直みなおしに慎重しんちょう姿勢しせい

 都教委が2020年に都立高と都内の公立中学の校長を対象に実施じっししたアンケートでは、都立高校長の約8割、公立中学校長の約6割が男女別定員制を「必要」「どちらかと言えば必要」と答えた。

Powered by the Echo RSS Plugin by CodeRevolution.

タイトルとURLをコピーしました