【特集】「Be Unique」6年間で唯一無二の人材目指せ…初芝立命館 – 読売新聞

【特集】「Be-Unique」6年間で唯一無二の人材目指せ…初芝立命館-–-読売新聞 花のつくりとはたらき

 初芝立命館中学校・高等学校(堺市)は、2020年度に学校長に就任した花上徳明(はなうえのりあき)氏の下、教育変革を進めてきた。さらに今年度は新たに掲げた「Be Unique」というスローガンのもと、生徒の個性を伸ばし、何らかに特化した人材を育てる取り組みを強めていくという。これまでの変革の取り組みと今後の展望などについて花上校長に聞いた。

多様な教育プログラムで時代の変化に対応

 ――これまでの教育改革の取り組みについて教えてください。

「Be Unique」というスローガンについて説明する花上校長
「Be Unique」というスローガンについて説明する花上校長

 本校は2008年に学校法人立命館と教学提携し、翌年から中高一貫校としての新たな歴史をスタートさせました。現在、高校には、立命館大学、立命館アジア太平洋大学へ提携校推薦で進学する「立命館コース」と、国公立大学や医歯薬系大学、有名私立大学など生徒の目標に合わせた学びを展開する「アドバンスト英数コース」及び「グローバル特進コース」の計3コースを設けています。近年では、大阪大学を始め、国公立大学の合格実績が2桁に達し、堅調な実績を積み上げています。

 学習面では、20年度から中間テストを廃止し、学期中に4、5回の単元テストを行う試験スタイルを導入しました。再テストも行って学習内容の定着を図っています。まだスタートしたばかりで、効果の検証はこれからですが、教員たちの話では、すでに学習成績の伸びが見られるといい、手応えを感じています。

 時代の変化に応じた取り組みも積極的に取り入れています。全学年に導入したiPadを活用してのICT教育、科学への興味を促すサイエンスプログラム、社会が抱える問題をテーマに学びを深める「地球市民教育」などを通じ、社会に出た時にも役立つ知識や能力を養っています。

 特に英語教育では、学年ごとに着実にステップアップしながら語学力とグローバルな視野を養う体系的なプログラムを確立しています。本校の高校生は、文部科学省が展開する海外留学促進プログラム「トビタテ!留学JAPAN」の派遣留学生に7年連続で選ばれています。生徒が独自の留学プランを設計して応募するこのプログラムでは、語学力だけでなく、グローバルな意識や志が問われます。これまでの英語教育の成果が表れている確かな証しとして喜ばしく思っています。

学び続ける力を中学・高校生のうちに習得する

 ――これからどんな生徒を育成していく考えですか。

社会が抱える課題をテーマに学びを深める「地球市民教育」
社会が抱える課題をテーマに学びを深める「地球市民教育」

 変化が著しく、そのスピードも速い現代社会において、学校教育も転換期にあると私は考えています。社会で求められ、次世代をリードしていくのは、均質化した教育で育てられた標準的な人材ではなくなるでしょう。大学入試に必要な知識をインプットするだけの教育では、これからの時代を生きていく生徒に必要な力を育むことはできません。

 近年、人材を評価する際の指標として、「どの大学を卒業したか」という「学歴」ではなく、「何を学び、どんな知識やスキルを身に付けたか」という「学習歴」が注目され始めています。学力はもちろん、課外活動で得た知識やスキルなども評価されます。

 終身雇用制度が中心であった日本でも今後は、自身の理念やライフスタイルに合わせて次のキャリアへとステップアップしていくという働き方が増えていくでしょう。そのとき、社会や自身の変化に応じて、「学習歴」をアップデートさせなければならない場面があるはずです。自身に適した自主学習のスタイルを身に付けておけば、社会に出てからもきっと大きな力となります。ですから、学びへの主体的な姿勢や思考力などを育み、学び続ける力を中学・高校生のうちに習得することが大切だと考えています。

 そうした時代背景に(かんが)みると、本校の教育理念である「夢と高い志、挑戦、そして未来創造」の中でも、特に「挑戦」と「創造」が重視すべきキーワードとなります。創造力を持って今までにない発想をし、チャレンジしてみる。たとえ失敗してもチャレンジを繰り返して道を切り開いていく。生徒がそのような力を身に付けるための機会を学校生活の中で提供したいと思っています。

 これらの未来社会の変化を見据え、今後6年間の教育のベースとなるスローガンとして今年度から「Be Unique」を掲げました。「唯一無二の」という言葉です。それぞれの個性を伸ばし、何らかに特化した人材を育てるという意味の教育目標です。個々の生徒が異なる個性を発揮する中で、それぞれの違いと良さを認め合い、多様性を受け入れる力も養っていく考えです。

生徒が自主的に学べる「土曜講座」をスタート

 ――そのために具体的にどのような取り組みを行っていきますか。

 本校ではこれまでにも多彩な教育プログラムを実施してきました。これらのプログラムを「Be Unique」の視点から、有機的に結びつけるような体制を整えると同時に、新しい取り組みにもチャレンジしていきます。

 これまで「探究型の学習」では、地域社会や企業、立命館大学と連携したプログラムなどを実施してきましたが、これを中高6年間でステップアップしていける体系的なプログラムへとブラッシュアップしていく計画です。例えば、中1ではポスターセッション、中2ではICTを活用したプレゼンテーション、中3では英語でのプレゼンテーション、高校ではチームでの協働活動や外部のコンテストへの挑戦といったプランを考えています。

 多様なアウトプットのスタイルを取り入れ、さまざまな経験をする中で、社会で生きる力を発展的に引き上げていくのが狙いです。新たな企業にも協力を呼び掛けており、プログラムを一層充実させる計画を進行中です。

今年度始まった「土曜講座」でプログラミングに取り組む生徒たち
今年度始まった「土曜講座」でプログラミングに取り組む生徒たち

 今年度は4月から、中学校で「土曜講座」をスタートさせています。隔週土曜日に、理科・数学・古典の先取り学習や、英語検定対策、英会話、絵画工芸、プログラミング、プレゼンテーションに向けた国語・英語表現、AIを用いた学習システム「atama+」、数学・科学・社会の探究など、15講座を開講しています。生徒自らが関心・興味を持った分野、もしくは必要と考えた講座を選択して受講できます。一人一人が自分に適した講座で学び、唯一無二の自分の完成を目指してほしいです。

 このほか、アジアやアフリカの学校と提携しての海外交流という構想も持っています。急速に発展している地域を知り、今の日本や世界の現状を知ってほしいと思うからです。もっと世界を知ることで多様性を実感し、自身の価値観が変わるような経験を提供できればと思っています。

 本校は、新しい時代に求められる教育を考え、実行し、未来社会で活躍する生徒を育てる学校を目指していきます。学校も教員も生徒もチャレンジする学校でありたいと願っています。

 (文・写真:溝口葉子 一部写真提供:初芝立命館中学校・高等学校)

 初芝立命館中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

Powered by the Echo RSS Plugin by CodeRevolution.

タイトルとURLをコピーしました