新型コロナウイルスの緊急事態宣言が京都府に出され、府内の小中学校で授業や行事が一部制限されている。感染対策のため実験や合唱などは取りやめになったり、4、5月予定の修学旅行が延期になったりしている。学校も児童生徒の学びや気持ちをフォローする対応を模索している。
「本当は実験をする予定だったけど、動画を見てほしい」。5月17日、京都市下京区の下京中。2年の理科の授業で教員が呼び掛けると、生徒約30人がアルコールランプに火をつけて水と二酸化炭素の発生を確認する実験の映像をモニターで見て、どんな化学変化が起きているかを考えた。
例年なら生徒たちが実際に実験に取り組んでいるが、今年は緊急事態宣言の発令で中止に。同じ器具を複数人が近距離で扱う実験は感染リスクが高いと市教育委員会が判断したからだ。授業を受けた生徒(14)は「実験の方が楽しく記憶に残るのでしたかったが、動画でも分かりやすかった」と話した。
同中では他にも音楽の授業で合唱や楽器の演奏はせず、生徒同士の話し合い活動は短時間にしている。家庭訪問もオンラインでの個人懇談に切り替えた。
山田敦校長は「動画でも内容は理解できるが、実験は失敗もする中で気付きや感動がある。それができないのは残念。ただオンラインでの個人懇談は保護者に好評だった」と語った。
小学校も同様で、伏見区の伏見板橋小では家庭科の調理実習を裁縫の練習に差し替えたり、放課後の遊びを中止したりしている。竹原正樹校長は「制限があっても学校に来るのが楽しくなるよう教員には積極的に子どもと関わるよう求めている」と強調した。
市教委によると、4、5月に小学校の55校、中学校の39校が予定していた修学旅行を6月以降に延期。また小中学校3校が5月に予定していた体育大会を秋に延期した。府内でも多くの自治体が4、5月の修学旅行や運動会を延期している。市教委は「どちらも大事な節目の行事なので延期してもできるだけ実施してもらいたい」としている。
【関連記事】
Powered by the Echo RSS Plugin by CodeRevolution.