岡山市教委は、6月から市立小中学校で水泳の授業を開始する。新型コロナウイルスの流行「第4波」が到来しているものの、昨年度は実施できていないことから、2年連続で中止すれば児童生徒の泳ぐ力を損なうと実施を決めた。一方で、プールではマスクを着けられないため、保護者から感染リスクを心配する声も上がっている。
スポーツ庁は年度初めの4月9日、十分な対策をした上で水泳を実施する方向で検討するよう全国の教育委員会に通知した。ただ、岡山県内は感染急拡大を受け、緊急事態宣言が発令されている。若い世代を含めて感染力が高いとされる変異株が広がり、今月19日には市内の中学校で初めてのクラスター(感染者集団)も発生した。
厳しい感染状況の中、水泳を行う理由について市教委は「泳ぐ力を養い、万一の水難事故を予防するために欠かせない授業」と説明する。
実施に当たり、市教委は感染対策を学校に指示した。プールサイドや水中では2メートル程度の距離を空ける▽授業中は不必要な会話をしない▽着替える際は更衣室以外にも空き教室を使って密集を避ける―などの内容だ。
6月7日の週にプール開きを予定する高島中(中区賞田)では、例年2、3クラス合同で授業をしていたが、今年は1クラスだけで行い、密を避ける。プールサイドでは男女が離れて並び、泳ぐ向きも一方向とする。梅原信芳校長は「マスクをしないので、生徒の間隔や体の向きに注意して飛沫(ひまつ)を防止したい」と話す。
6月上旬から始める予定の津島小(北区津島本町)では、担任に加えて教員をもう1人配置し、プールではしゃいだり、大声を出したりしないよう目を光らせる。同小は「危険を避けるため、しっかり指導する」とする。
保護者には懸念もある。北区の小学校に6年生の子どもを通わせる母親は「子どもが本当に距離を取ったり、騒ぐのを我慢したりできるか心配だ」と話す。市教委にも「マスクを着けないので不安がある」「なぜ中止しないのか」という声が寄せられているという。
市教委保健体育課は「学校に具体的なノウハウも含めてしっかり予防策を指導し、感染リスクを抑えたい」としている。
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