男女別に募集定員を設定している東京都立高校の入試で、女子の合格ラインが男子を大きく上回る状態が続いていることが毎日新聞が入手した都教育委員会の内部資料から判明した。過去には性別の枠を外した「合同定員制」への移行を模索した時期もあるが、実現していない。その背景に何があるのか探った。【大久保昂】
「(男女の合格ラインに)非常に大きな差が見られる。これで裁判になると耐えられない」
2019年6月6日、東京都庁で開かれた都立高校の入試制度を話し合う検討委員会で、委員の一人がこう訴えた。直近の入試の結果を分析した内部資料には、男女別定員制の是正措置を講じてもなお、女子の合格最低点が男子を100点以上も上回る高校があったことが記されていた。もし受験生から「不当な差別」などとして提訴されたら、都側が敗訴する可能性もあると指摘したのだ。
検討委は非公開だったが、毎日新聞が入手した議事録によると、女子が不利益を受けている都立高の男女別定員制に対し、委員から疑問の声が相次いだ。当時、東京医科大などの医学部入試で女子に不利な得点調整が行われていたことが明らかになり、入試における男女差別に厳しい目が向けられていた。
「男女という区分けではなく採点で公平に評価してほしい」(保護者)
「男子なら合格できたのに、女子だから合格できないというのは不公平感がある」(都立高校長)
「男女別定員制は廃止してもよい」(中学校長)
検討委の委員長だった都教委の宇田剛教育監(当時)は議論を総括し「何らかの形で不公平・不平等の解消を行うよう検…
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