ドラマ「ドラゴン桜」で見る“性格”と“成績”の関係 – 日経ビジネスオンライン

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古野 俊幸
他1名

ヒューマンロジック研究所 代表取締役

この記事の著者

『ドラゴン桜2』4巻24時限目より

 テレビドラマ、日曜劇場「ドラゴン桜」に登場する藤井遼(鈴鹿央士)は、龍海高校でトップの成績を誇る優等生です。

 高校入試の時、たまたま進学校を受験できずに龍海高校に入学したというだけで、偏差値はこの高校ではずば抜けています。東大専科の天野晃一郎(加藤清史郎)たち4人を見下していて、自力で東大を目指そうとしているのです。

 もちろん、桜木建二(阿部寛)と東大専科の動きは気になっています。でも、無視を決めこむ藤井。特に天野に対しては、マウントを取るように“バカにした態度”で接しています。

 では、そんな本人は自信満々かといえば、そうでもないようです。周囲からどう見られているのか内心不安で仕方ないので、虚勢を張って“自信ありげ”に振る舞っている。そんな風に見えますね。

 ドラマでは、藤井が東大専科にテストによる勝負を持ちかけたものの、偏差値では勝るはずなのに負けてしまいます。優等生の藤井は、なぜ負けてしまったのか。そこには、彼の性格が関係していると思います。桜木も同じことを言っています。

 本人の性格が勉強にどう影響するのか、今回はこの視点から考えてみたいと思います。

マウントを取りたがる人の心理とは?

 マウントを取られてへきえきした経験は、ドラマの高校生に限らず、私たち大人にも身に覚えがあるはず。そもそも、なぜ人はマウントを取りたがるのでしょうか。

 「マウントを取ろうとする」のは、FFS理論(開発者:小林惠智博士、詳しくはこちら)で説明すると、「保全性」の高い人が陥りがちな傾向です。どういうことか説明しましょう。

 「保全性」は、農耕民族の特徴と重ねて説明すると分かりやすい因子です。農耕民族は、みんなで力を合わせて農地を耕すために、村長(むらおさ)を頂点とするヒエラルキーを構築し、階層ごとに取り分や役割を定めて、組織的な行動を尊重します。

 組織の“シキタリ”を守れない人は、「村八分」となり、排除されます。それを恐れるからこそ「秩序が保たれる」という側面もあり、これはある意味では理に適(かな)った仕組み、とも言えます。

 その組織で少しでも楽になりたいと思えば、同じ階層、すなわち「同じ世代で上位にある」ことが大切になります。なぜなら、周りの人より“優れて”いれば、労働負荷が軽くなり、取り分が増えるなど、有利な条件が手に入るからです。ただし、優位に立つのは、同世代の相手に対してのみ。この組織では、上の階層の人には従順であるというのも、守るべき“シキタリ”なのです。

 これを会社組織に当てはめると、「保全性」の高い人は、全社ではなく同期の中で“一番優れている”ことを誇示するために、マウントを取りたがるのです。

 人を見下す癖のある藤井は、おそらく「保全性」の高いタイプなのでしょう。

 そして、天野も、この連載の1回目に書いた通り、「保全性」の高いタイプです。2人ともよく似た個性でありながら、ずいぶんと違った印象を受けますね。

 天野は、成績も良くないので自分に自信がありません。藤井のことを「勉強ができてすごい」と思い、「勝てるはずのない相手」と理解しているので、藤井にマウントを取られても、何も反論しないのです。

この記事はシリーズ「『ドラゴン桜』で学ぶ「学び型」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

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2021.5.14更新

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