中学理科「優性・劣性」から「顕性・潜性」に。遺伝の用語、2021年度から一斉変更 – ハフポスト日本版

花のつくりとはたらき

中学や高校で学ぶ「メンデルの遺伝の法則」に登場する「優性・劣性」。

中学校で新しい学習指導要領が適用される2021年度、中学理科の教科書で従来の「優性・劣性」との表記が一斉に見直され、「顕性・潜性」と改訂された。

「優性・劣性」の表記をめぐっては、遺伝の特徴に過ぎないのに、優劣があるかのような誤解を招く恐れがあるとして、日本遺伝学会などで見直しの動きが進んでいた。

文部科学省によると、2021年度に中学校の全ての教科書で「顕性・潜性」の用語が主として使われるようになった。ただ、一律に記載が削除されたわけではなく、「顕性(優性)・潜性(劣性)」と記載したり、注釈で補足したりと教科書会社によって表記の仕方は様々という。

例えば、大日本図書は、『理科の世界3』の「子の代への形質の伝わり方」の解説で、次のように記載している。

<メンデルの交配実験では、子に両親の一方の形質だけが現れるという結果になった。Aaという組み合わせの遺伝子をもつ子は、遺伝子Aが伝える形質(丸)しか現れず、遺伝子aが伝える形質(しわ)は隠れたままである。この時に子で現れる形質を顕性の形質、現れない形質を潜性の形質という。エンドウの種子の形では、丸は顕性の形質、しわは潜性の形質である。>

同じページには、注釈で<顕性のことを優性、潜性のことを劣性ということもある。優性、劣性は、子の代での形質の現れ方にもとづいたことばで、優れている、劣っているという意味はない。>として、誤解を招かないよう明記している。

日本遺伝学会は2017年、「優性・劣性」の表記を見直し、「顕性・潜性」と改めた

日本学術会議の分科会も2019年、高校で学ぶべき用語のうち、「優性・劣性」を「顕性・潜性」に改めるよう提言する報告書をまとめた

文科省によると、高校でも2022年度に新たな学習指導要領が適用となるのに合わせ、22年度から使用される理科の教科書での表記が「優性・劣性」から「顕性・潜性」に一斉に改訂されるという。

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