【CNS】中国の大学入試、高校入試まであとわずか2か月。勉強に影響を与えうることはすべて「洪水と猛獣」と見なされる。スマホもその一つだ。
目下、中学3年生、高校3年生にとって、生徒本人、先生や親にかかわらず、誰もが日増しに緊張し、ラストスパートの追い上げに入っている。
近頃、河南省(Henan)信陽市(Xinyang)にある学校が生徒集会を催してスマホを壊すことが話題になり、激論を引き起こした。これに対し、学校側の強硬な態度を支持する人がいる一方、生徒の合法的権益を侵害したのではないかという疑問を持っている人もいる。
ネットユーザーが発表した動画の中で、生徒は順番にステージに上がって、ハンマーを持ってスマホを壊す。校長先生は、生徒2人だけのスマホ(保護者の古いもの)を壊した。保護者の要望に従い、生徒も同意したと言う。
事件は世論の中で論議を呼んでいる。支持者は、スマホ持参の入校は何度禁止してもやまず、壊すのは本当にしようがないことだし、このやり方は確かに生徒たちのスマホ使用抑制に効果があると考えている。
批判者は、スマホを壊す人、壊すのを賛成する人、両方とも法治意識に欠けており、このようなやり方は無理に既成の条件に当てはめ、小さな失敗に懲りて大切なことをやめさせる典型例だと考えている。
スマホが普及するにつれ、多くの大人でもスマホに「束縛」され、小中学生がスマホを持つことへも常に懸念されてきた。
実は、警告として生徒のスマホを壊すことは中国国内の中高校では初めてではない。ほぼ毎年、学校のハンマーの下で「犠牲」になるスマホが現れる。
同じように、「スマホ持参の入校」は、新鮮な話題ではない。禁止令の裏には、スマホへの依存に限らず、生徒の視力などに健康への悪影響があることも、禁止される重要な理由だ。
政策面では、スマホは基本的に学校で「禁止」されているが、通信がますます発達している今、スマホとの関係をいかに正しく処理するかは、今の教育の重要な課題となっている。
「警告・モデルの役割として、公衆の前でスマホを壊すというデモンストレーションは初めてではないが、その効果は理想的とは言えない」と、中国教育科学研究院の儲朝暉(Chu Zhaohui)研究員は述べた。
彼は、学校がこのような解決方法で問題を解決するのは、「反教育」の表れであり、人前でスマホを壊すのは、その方式とプロセスがどのように「心をこめて設計」されても、依然として教育上の目前の利益を急いで求める単純な乱暴がむき出しになる。また、短期的な「手段」として有効であっても、「人を育成する」目標の実現という意味では、より大きな実害をもたらしたにすぎないと考えている。
儲研究員から見れば、スマホを壊す全行程を見ることを強いられるほかの生徒にとって、「尊厳は重要ではない」という教育を受けていることになる。「人間の尊厳はこのように無視されることができる」という誤った方向に誘導された。これにより、その場にいる何千人もの生徒が、他人の尊厳が傷つけられても、無関心な態度を取るようになり、生徒の感情や態度、価値観に対して悪影響を生むと危惧している。
生徒が校則に違反したら、相応の処罰を受けるのは当然だが、このような批判教育は一線を越えてはいけない。また、学生のスマホを処分することは他人の財産を侵害する疑いがある。違法の疑いがある手段での学生の校則違反問題の解決は、ことの軽重を誤っているという。(c)CNS/JCM/AFPBB News
※この記事は、CNS(China News Service)のニュースをJCMが日本語訳したものです。CNSは1952年に設立された中華人民共和国の国営通信社です。
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