中学受験塾への入塾時期の低年齢化が話題になっています。通塾するか否かにかかわらず、受験に必要な学力の土台づくりには、家庭での取り組みが欠かせません。4年生で本格的な受験勉強が始まるまでに、どんなことを身につけておくとよいか、お話ししたいと思います。
中学入試では公立高校入試で出題される文学的文章、説明的文章と同等、あるいはそれ以上の難度の文章が扱われます。
実学年より3学年上くらいを対象とした文をすらすらと読み、理解する力が必要です。そのうえで、読み取ったことを整理して記述する力も求められます。これらを下支えする「語句の知識」と「論理力」も養っておきたいものです。
つまり、「読む力」「書く力」「語句の知識」「論理力」をつけることが、低学年の学習の要になります。かといって大量の読解問題をこなす必要はありません。むしろそれでは身につかないこともたくさんあります。
それではどんな取り組みをすればよいかを紹介します。
「読む力」をつける
毎日文章を読んでください。4年生の授業をスタートした時点で、すでに読む力に大きな開きが見られます。1日10分程度でも構いません。読みたがらないからと放置せずに、一緒に本を開いて読み聞かせるところから始めましょう。
交互に音読をするなどして、だんだん親の出番を減らし、自分の力で音読したり黙読したりできるようにしていきます。
3年生の終わりには、6年生の教科書レベルの文章が読めるようになるのが目標ですが、無理のないように少しずつ文章の難度を上げていってください。
「書く力」をつける
〇鉛筆を正しく持つ
まず、文字を書くことに慣れておきましょう。4年生でも、字をすいすいと書けないお子さんを見かけるからです。書くのが遅いだけでなく、字も乱雑でマス目からはみ出したりします。
書いているところを見ると鉛筆の持ち方にも一因があるようです。指先で鉛筆をコントロールするような持ち方ができていないのです。1年生のうちに鉛筆の持ち方をチェックしておきましょう。
〇ひらがな、カタカナを正確に書く
気をつけたいのがひらがな、カタカナです。かなり前ですが、開成中学校の入試問題で、「アマゾン」を正しく書かせる問題が出たことがあります。
確かに「アとマ」「ソとン」「シとツ」の区別がつきにくい文字を書く子がいます。「ア」を「了」、「イ」を「人」のように書いたり、「ふ」を「う」と「い」を組み合わせたように書いたりしたものも見かけます。
横画を左から書くのか、右から書くのかを意識しておらず、たとえば「ヒ」の一画目を右から書く子も多いです。
どちらでもよいように思えますが、左右どちらから書くかに無頓着だと、漢字を学ぶときに影響があります。「比」の左右を同じように書いてしまったり、「けものへん」が「てへん」のようになってしまったりします。
〇視写(書き写し)をする
週に1回くらい視写をしてください。
素材は中学年を対象にした理科や社会の読み物などがよいでしょう。書き言葉に慣れるとともに、助詞の使い方や読点の打ち方なども学べます。
2文節くらいずつ、声に出して読みながら書き写していくとよいでしょう。慣れるまでは、3分間だけ書くというように時間を決めてやる方法でもかまいません。
1年生なら100字くらいを集中して写せるようにしましょう。誤字や脱字がないか、親が後で点検します。
4年生になるまでに、400字くらいを集中して写せるよう取り組んでください。
〇文を書く
ちょっとしたできごとや思ったことなどを書く練習をしておきましょう。
たとえば、お子さんと会話をしながら「それおもしろいね。書いてごらん」と、日記帳のようなものに書かせるのです。
手紙、お話づくりなどでも構いません。文章を書くのは簡単ではありませんが、書き慣れることで上達していきます。
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