受験で「知らない問題」が出た時に使える思考法 – ニュース・コラム – Y!ファイナンス – Yahoo!ファイナンス

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13:01 配信

学校での成績がよくても、近年の入試問題でよく出題される「思考力」を問うような記述式の問題に弱い……という子どもは少なくないようです。では、この「思考力」とはいったい何なのか?  その正体は、一言で言えば「あてはめる力」だ、というのは、人気の国語教室を運営する善方威氏です。何にどのようにあてはめていけばいいのか、考える際の指針となる「思考の道具」について解説してもらいました。

※本稿は『全試験対応!  わかる・書ける・受かる 超思考力』(かんき出版)より一部抜粋・編集したものです

■思考するための“公式”がある

 世の中は非常に速いスピードで変化していますが、変わらないこともあります。その1つが学校の国語の授業です。親御さんが、今、お子さんの授業に参加したとしても、違和感を覚えることはきっとないでしょう。数十年たっても、教室で教えられている内容はほぼ昔のままの学校が多いからです。

 にもかかわらず、教育現場には大きな変化が起こっています。入試改革です。すでに試験問題だけは、授業で教えない「読解力」「思考力」「表現力」という3つの力を使って解答しなければならない内容に大きく変わっているのです。

 ですから、いくら学校で国語の成績がよいというお子さんであっても、本番の入試であっさり負けてしまうことも多い、という現実があります。それは、新しい入試に必要な力を、そもそも身につけていないからにほかなりません。例えて言うならば、戦に使われる武器が鉄砲に変わっているのに、実際に習っていたのは刀や槍の使い方だけ。これでは勝つことは難しいでしょう。

 思考するにも、表現するにも、「思考の道具」が必要です。この「思考の道具」とは、言い換えるなら「あてはめる力」のこと。これはたとえば算数で、この問題は「植木算」、この問題は「旅人算」と、ある公式や解き方にあてはめて問題を考えるのと同じです。このような公式を理解して、使える形で記憶していれば、思考することが容易になり、また、それを表現する方法も見えてくるものなのです。

■「思考力入試」は単なる「記述形式の入試」ではない

 入試の変化を感じていただくために、ここで1つ、入試問題をご紹介します。

 近年、入試の内容は親の世代が想像できないほど、高度になっています。さらに、2020年度から実施されている小学校の「新学習指導要領」では、これまでの知識や技能に加えて、「思考力・判断力・表現力」や「学びに向かう力・人間性」を育てることが大きな柱となっています。しかし、思考力を重視する傾向は、すでに中学入試や高校入試ではそれ以前から始まっていました。

 ただここに、1つ誤解があります。多くの方がこれら「思考力入試」を単なる「記述形式の入試」にすぎないと捉えていることです。しかし実際は、それほど単純なものではありません。その誤解を明らかにするために、ちょっとした問題で頭を動かしていただきましょう。

<問題>

「葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり」

※歌の中に句読点を入れるのは、この作家(折口信夫)の特性です。

【大意】

誰にも行き会うことのない山道に、踏まれたままの葛の花が残っている。土ににじむ、その新しい赤紫の色が鮮やかである。少し前にここを歩いていった人がいたのだろうなぁ。

<問>

この短歌と大意をもとにして考えると、俳句と比べ短歌はどのような性格があると言えるか、あなたの考えを書きなさい。

 これは、慶應志木高校で平成27年に出題された問題を単純化したものです。「ふざけんな!  何を書けばいいんだ!」と怒りたくなるような問題ですね。

 しかし、このような「何をどう考えたらいいかわからないとき」に効果絶大な思考の道具があります。

 この問題は、たとえば、私の教室で「二スペワン」と呼んでいる「思考の道具」を使って解いていくことができます。この「二スペワン」とは、「二元論スペシャル1」の略で、“物事をプラスとマイナスに分けて考える”二元論のなかでも「理性と感情」という図式にあてはめられるもののことです。

 この問題では、3句目の「色あたらし」までは「直感」できる事柄。しかし、その後は直感した状況を「分析」し、そこから「理論的」に推論した内容となっています。

 このことから、「直感」→ココロ系、「分析」→アタマ系と考え、「二スペワン」の図式を利用してみましょう! 

<解答例>

「直感的に情景を詠み余韻を残す俳句と違い、それを分析し推論した内容まで表現できるという性格」

 いかがでしょう?  筋の通った答えとなりました。

 「二スペワン」はこれ以外にも「歴史」「芸術」「流行やファッション」「人間の成長」「子どもと大人」「人生論」……と、使える範囲がとても広いものなのです。

 一例を挙げましょう。私が、とあるテレビ番組に出演したときのことです。その日のテーマは「仏像フィギュアが売れている。それはなぜ?」でした。

司会 「善方さんは仏像フィギュアをなぜ教室に飾っているのですか?」

善方 (そんな深いことを突然聞かないでくれ~!  と思いながら)「『客観的』には教室で授業をしているわけですが、私の『主観面』を言えば仏像フィギュアを見ることをきっかけに時空を超えてその時代や場所に行った気分になれるからです。『心の自由さ』が得られますね」。

 とっさの発言としては、まあまあではないでしょうか。

■「思考の道具」は大人になっても役立つ

 このような「思考の道具」は、受験だけでなく、1人の人間として思考を深めるために使うことができます。

 私たちは、政治、社会、教育、疫病、国際関係など、容易に答えの出せない難問に囲まれています。そしてこれらは自分とは関係ない、とやり過ごすことができなくなっています。たとえば、2020年コロナ禍の下での学校の一斉休校の決定。多くの保護者が頭を悩ませ、何が正解なのかを考えざるをえない状況に陥りました。こういった問題も「思考の道具」で、論理的に深く考えることができるのです。

 ぜひ、「思考の道具」を身に付け、受験だけでなく、長い人生の強力な武器にしてください。

東洋経済オンライン

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最終更新:4/8(木) 13:01

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