コロナ感染予防はなぜできぬ?中学生が授業で探る 愛知 [新型コロナウイルス] – 朝日新聞デジタル

コロナ感染予防はなぜできぬ?中学生が授業で探る-愛知-[新型コロナウイルス]-–-朝日新聞デジタル 基本問題

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、責任ある行動を取るにはどうすればいいか。中学生が自分たちの生活を点検して課題を探り、意見交換をしながら解決方法を考える授業に、尾張旭市立旭中学校が取り組んだ。

 「感染症から身を守る私たちの衛生プロジェクト」の授業。2年生が対象で、2月から総合学習の時間を中心に進めた。

 学年主任の彦田泰輔教諭は「新型コロナの問題を通して、生徒たちに『感染拡大防止に必要だとわかっているのに、なぜできないのか』『責任を果たすとはどういうことか』を考えてもらう。よりよく生きるために、自分はどう行動していくかを考える『生き方教育』につながる」と狙いを説明する。

 授業は2月初め、「感染予防生活習慣チェックアンケート」から始まった。ニュースや新聞記事でウイルスや感染症のことを知るようにする「情報」、友達と手をつないだり体を近づけて会話をしたりしない「3密」など18項目について、自分たちの生活習慣を点検・数値化して学校平均、クラス平均を加えたチャートにした。

 2月24日の授業では、アンケート結果を分析して課題を見つけ、感染予防で正しいとわかっていることがなぜできないのか、その阻害要因を探ってワークシートにまとめた。

 3月1日の授業は、洗い出した阻害要因に対して、どんな解決策があるのかを探った。論理的な思考の分析ツール「OODA(ウーダ)」を使って自分自身で考えた後、生徒同士で意見交換をしてアドバイスを出し合った。

 「3密」が課題と考えた生徒は、友達と一緒にいるとソーシャルディスタンスが必要だとわかっていてもできないことに注目。「友達といると楽しいから」と阻害要因を分析し、「お互いに注意する」「ニュースなどを見て新型コロナの情報を集め、友達と話し合って意識を高める」「消毒用のアルコールを常に持ち歩く」などの解決策を考えた。

 締めくくりの8日の授業では、解決策を実践した1週間を検証した。感染症予防のための生活習慣をもう一度点検し、アンケート当初と比べた。

 彦田教諭は「プロジェクト授業のほかにも、英語や数学、社会、保健体育など教科横断的に様々な角度から感染症をとらえる授業を展開している」という。

 「英語で新型コロナ関連のニュースを読む」「新聞を読んで感染症対策を考える」「インフルエンサーやクラスター、インフォデミック(不確かな情報の拡散)など、伝わり広がるつながりを数学的に表現する」「グバイドゥーリナ作曲の『ペスト流行時の酒宴』を聴き、テーマに合わせた表現方法を考える」などの授業だ。

 彦田教諭は「感染症の全体像を養護教諭が説明した授業では、生徒たちはメモを取りながら真剣に聞いていた。新型コロナへの生徒の関心は高い」と話す。(鈴木裕)

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