初めて実施された大学入学共通テスト(第1日程)で、各教科の平均点の中間集計が発表されました。教科により違いはあるものの、全体に昨年の大学入試センター試験より大幅に下がることはありませんでした。2次試験の出願への影響や、コロナ禍で入試方法を変えるケースへの対応について、予備校関係者や進路指導担当の高校教員に話を聞きました。
国語は昨年よりやや低め、数学は高め
平均点の中間集計結果は、大学入試センターが1月20日に発表しました。
小数点以下を四捨五入した結果を見ると、配点が200点の国語が116点(昨年のセンター試験は119点)、配点100点の数学1・数学Aが59点(同52点)、数学2・数学Bが63点(同49点)でした。英語のリーディングは60点(昨年のセンター試験の配点を100点満点で換算すると58点)、英語のリスニングは57点(同58点)でした。
予備校関係者や高校の教員からは、センター試験より問題が難しくなったのではないかという指摘があり、平均点は下がるとの見方がありましたが、結果的にはさほど大きな差はありませんでした。
▼大学入学共通テスト(第1日程)主な科目の平均点(中間集計)
国語 116.05
世界史B 65.79
日本史B 66.06
地理B 62.52
現代社会 54.34
倫理 71.76
政治・経済 51.32
倫理、政治・経済 69.18
数学1・数学A 59.20
数学2・数学B 62.85
物理基礎 38.12
化学基礎 25.60
生物基礎 30.17
地学基礎 34.71
物理 58.89
化学 52.80
生物 73.14
英語リーディング 60.35
英語リスニング 57.23
※大学入試センターが1月20日公表、受験者数5000人以上の科目のみ抜粋。
昨年も難しかった上に受験生が備えた結果か
河合塾の富沢弘和・教育情報部長は、「これまで、出題傾向が変わるので平均点は下がると想定していた」と話します。
問題文の分量が増え、さまざまなタイプの資料や文章を読み解く必要があるなど、出題傾向は確かに変わりましたが、平均点は全体的に昨年のセンター試験並みでした。富沢部長は「もともと昨年のセンター試験自体が前年より難しく、多くの教科で平均点が下がった。さらに、事前の大学入試センターなどからのアナウンスをもとに、生徒や学校がしっかり対応した結果では」と話します。受験生の申告をもとに得点の分布を見ても、昨年のセンター試験と大きく変わった教科は多くないそうです。
共通テストは、思考力、判断力などを問うため、暗記した知識だけでは解けない問題が出る、と以前から伝えられていました。過去に2回あったプレテスト(試行調査)からも、どのような問題が出るかをある程度、見通すことができました。
富沢部長は「そうした予測をもとに、受験生たちは準備をしてきた。本番で出た問題も、入試センター側が示した方針に沿って作られていたから、多くの生徒がかなり解けたということでしょう」と話します。
駿台予備学校とベネッセコーポレーションが共催する「データネット実行委員会」も、試験後の問題分析と駿台予備学校在籍生の一部のデータを基にした分析で「平均点はさほど下がらない」と見ていました。谷本祐一郎・ベネッセ教育情報センター長は「その見方を打ち出した後、各地の高校生の自己採点データが集まってきて、全体として下がる幅は小さいという見方を強めた」と話します。
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