関西圏で新型コロナウイルスの感染が急速に拡大しているとして、大阪、兵庫、京都の3府県知事は9日、西村康稔経済再生担当相とオンラインで会談し、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「緊急事態宣言」の発令を要請した。西村氏は会談後、「極めて厳しい状況にあるとの認識を共有した」と語ったが、宣言発令の早期判断に慎重な姿勢を示した。しかし、吉村洋文大阪府知事は政府の判断を待たず、14日から府内全域で首都圏と同様の感染防止対策を独自に始める考えを明らかにした。
吉村知事らは「年明け以降に感染が急拡大し、医療体制は非常に逼迫(ひっぱく)している」と宣言の早期発令を求めた。
これに対し、西村氏は政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長らの見解を紹介。尾身氏は8日の記者会見で、陽性者数が昨年末までの状況から一転して急増する大阪府の感染状況について「不規則で、もうしばらく分析しないといけない」との認識を示している。
西村氏は「尾身氏らは3府県の感染分析を来週末ごろまで続ける必要があると考えている」と説明。政府の判断について「専門家の意見を聞いて検討していく」と述べるにとどめた。当面は政府が宣言発令時に求めている基本的対処方針に準じた対応の検討を求めた。
こうした政府の意向に対し、吉村知事は宣言要請後、「緊急事態宣言に相当する状況で、一刻も猶予を許さない」と記者団に強調。府内では14日から25日間、宣言が出ている首都圏と同等の強化策に切り替える方針を表明した。12日に開く対策本部会議で決定する。
大阪市全域の酒類提供の飲食店に出している営業時間の短縮要請は、対象を府内全域の全飲食店に拡大し、営業は現在から1時間前倒しして午後8時までにする。今回の要請に応じた店舗には1日当たり6万円の協力金を支給する。
府民には午後8時以降の外出自粛の徹底を求め、スポーツなどのイベントについては観客の上限を5000人とし、収容人数の50%以下での開催も要請する。一方で、学校の一斉休校は求めず、高校入試も予定通り実施する方針だ。
兵庫県の井戸敏三知事は要請後に取材に応じ、「(宣言の発令に向けて)国は積極的に取り組んでほしい」と語った。当面の対応については「3府県でも感染状況が違うので、統一性のない対応になってもやむを得ない」と述べ、地域の実情に合わせた措置を検討する意向を示した。京都府の西脇隆俊知事は「3府県で連携して対応を進めていきたい」と記者団に述べた。【芝村侑美、藤顕一郎、福富智、竹地広憲】
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