受験迫る後輩へ「オンラインでも学べる」大学生のエール – 朝日新聞デジタル

教育関連ニュース

年が明け、いよいよ受験シーズンを迎えました。16日には大学入学共通テストが始まります。各界で活躍する受験経験者や、さまざまな分野で学びを深めている現役大学生・大学院生たちからの、受験生へのメッセージを随時お届けします。

 東京外国語大1年の桜井七海(ななみ)さん(19)は、専攻の英語のほか、欧州の医学史、農業大学の提携講座など「面白そうな授業」をめいっぱい受けている。ほぼオンラインだが、「慣れたら楽しいし、利点もたくさんある」と前向きだ。

 小学生のころ映画を見て、飢餓問題に心を痛めた。専門知識を付けて国際機関で働こうと、福岡県立修猷館高校では理系を選んだ。だが2年で高校OBの外交官の話に魅了され、3年から文転。大学紹介本で志願先を探した。理系にも触れていたくて重視したのは、学外講師による提携講座の充実度、履修の自由度。東京外大が浮かんだ。先輩に「好きな授業が選べるよ」と聞いたのが決め手だった。

 時間はなかった。3年でも運動会の運営、学校代表として米国派遣と忙しい日々。朝早く登校して静かな教室で学習するのを習慣にした。英単語を読む自分の声を録音して聴きながら違う勉強をする「二刀流」も編み出した。「時間がない方がむしろ集中できた」。一般入試で合格をつかみとった。

 喜んだのもつかの間、入学式は中止、履修登録も授業もオンラインに。必死に対応しながら高校の後輩が気になった。突然休校になって文化祭もなくなったと知り、胸が痛んだ。そんなとき東大に進んだ同級生から、一つ下の後輩にオンライン授業しようと誘われた。「面白そう!」と即答。英語を引き受けた。同級生十数人による8科目の「授業」が5月5日に始まった。

 長文読解のコツ、間違えやすい文法。受験を終えたばかりの「先生」の授業は好評で、高校の正式なオンライン授業が始まるまで続けた。その後も後輩の相談に乗っている。日々の授業が大切、模試は必ず振り返りを、共通テスト対策も十分に――。かつて余裕がなくて聞き流した先生の言葉を伝えることもある。「いま思えば先生は正しかった」

 受験の迫る後輩には、頑張ってきたことを思い出して自信を持ってほしい。そして大学4年間で何を学び何をしたいか、ビジョンを立ててほしいと願う。「大学生になる」という漠然としたイメージでは不満を持つかもしれないからだ。だから伝えたい。

 「教授から学べることはオンラインでもそう変わらない。その気になれば、やれることはたくさんあるよ」(渡辺純子)

Powered by the Echo RSS Plugin by CodeRevolution.