「女・男の気持ち」(2021年1月21~27日、東京・大阪・西部3本社版計19本)から選んだ「今週の気持ち」は、西部本社版1月21日掲載の投稿です。
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<今週の気持ち>
受験によせて 山口県宇部市・高田麻美さん(看護師・51歳)
不妊治療も経験し授かった大切な命は、大学受験の真っ最中だ。出産時は全ての幸せが腕の中にあると感じたのもつかの間、騒音並みの泣き声に我の強さを予感した。
後に、それは私譲りと自覚しながら、やりがいのある仕事を継続し、幼子を祖母たちに託して仕事へ向かう母の背中をどのような気持ちで見つめていたのか。いつか聞いてみたいが怖い気もする。
中学では教科書通り以上の反抗期を迎え、私は職場の顔とは裏腹で、互いのバトルは過激化した。
進学高校に入学し、付いていけるのか、心が萎えないかと心配したが、学業結果に動じず、毎日楽しんで明るく登校した。
例のごとく、受験までもギリギリで火がつく始末。「後悔は?」と聞くと「していないよ。これが私のスタイル!」と即答した。
受験大学は全て県外の目標とする学部。何か意図があるのだろう。我が家を巣立つであろう彼女に、人として伝え忘れていることがないか考えたが答えが出ない。そう、私も同じく途上人。
さあ、この春、あなたが受け取る「切符」が進むべき道なのだ。置かれた環境下で誰と出会い、支えられ、何を感じて考え、チャレンジして生きていくのか?
確かなことは、あなたの存在が私たち夫婦の人生に彩りを添え、豊かにしてくれたことだ。そして、これからも。
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<担当記者より>
受験期を迎えている長女の志望大学はすべて県外。投稿者の高田さんと長女が、これから一緒に過ごす時間は限られています。「娘が自分の手から離れていくのも秒読み。改めて自分の子育てを考えてみました」。気持ちが高揚し、高田さんは当欄に初めて投稿しました。
「娘が生まれてからを回想しながら、自分は良い親だったのか」と自らの人生も振り返ってみました。「幼子を祖母たちに託して仕事へ向かう母の背中をどのような気持ちで見つめていたのか」。働く母親が直面する切ない思い。「いつか聞いてみたい」と書きましたが、長女へのこの質問は入試が終わるまで封印です。受験生の親として気を使っているのです。コロナ禍にあり、例年以上に気配りが必要なのかもしれません。
担当記者には、子どもの受験で忘れられない経験があります。十数年前の次男の高校受験。第1志望の入試直前に私がインフルエンザにかかり、試験当日、次男も39度を超す高熱が。不合格で私は責任を感じましたが、次男は一言も私に文句を言いませんでした。
長女の受験後、どんな人生が待っているのか高田さんも娘も分かりません。そんな中でも「確かなことは、あなたの存在が私たち夫婦の人生に彩りを添え、豊かにしてくれたこと」という締めの言葉はどんな親も共感するでしょう。無粋で迷惑な父親の私でも。
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