高価格帯の炊飯器や、オール電化の住宅に導入されるクッキングヒーター(電気コンロ)の多くは、「IH(アイエイチ)」方式を採用しています。
そもそも、「IH」とは一体何なのでしょうか。一般的な電気を使うヒーター(熱源)とは何が違うのでしょうか。
IH=Induction Heating(電磁誘導加熱)
IHは「Induction Heating」の略で、日本語に訳すと「電磁誘導加熱」という意味になります。
「電磁誘導」は、金属の近くで磁石を動かすことで電気が生じる現象のことを言います。中学校の理科の授業では「銅線で作ったコイルで棒磁石を出し入れして電気が発生する」という形で習ったと思います。
この時に生じた電流のことを「渦電流(うずでんりゅう)」と言います。渦電流を発生している金属には、熱が生じます。IH方式の炊飯器やクッキングヒーターは、この仕組みを活用して、温める対象物(釜、鍋やフライパン)との間に渦電流を発生させることで、対象物を直接発熱させて温めます。
電熱線(ヒーター)を炊飯器やクッキングヒーターは、電気を使うこと自体は同じですが、発熱するのは対象物ではなく電熱線です。対象物は間接的に温められることになります。
IH方式のメリット
IH方式の炊飯器やクッキングヒーターのメリットは、何よりも温めるべきものを直接温めるので効率が良いことにあります。電熱線を使う炊飯器やクッキングヒーター、ガス式の炊飯器やコンロとは異なり、周囲の温度が上がりにくいことも特徴です。
クッキングヒーターに絞って話をすると、基本的に表面はガラス素材なので、吹きこぼれや飛び散りがあった場合でもすぐにふき取れれます。
また、特にガス式のものと比べた際のメリットとして、炎が出ないので火事のリスクを極小化できます。ただしゼロになることは決してありませんので、そこだけは注意してください。
IH方式のデメリット
一方、IH方式の炊飯器やクッキングヒーターにはデメリットもあります。特に、クッキングヒーターではそれが大きく出てしまう傾向にあります。
まず原理上、非金属の鍋やフライパンは原則として利用できません。また、金属素材の鍋やフライパンでも、サイズや形状によってはIHクッキングヒーターでは使えなかったり、使えても効率良く熱を加えられなかったりします。
IHクッキングヒーターで使う鍋やフライパンは、「IH調理器対応」をうたっているものを選ぶようにしましょう。
また、IH方式の炊飯器やクッキングヒーターは、不快な音が出てしまうことがあります。
先述の通り、IH方式の調理器は電磁誘導で生じる渦電流によって対象物を温めます。そのため、対象物によっては共振が発生し、甲高い音が生じてしまうのです。ただし、重量のある鍋やフライパンを使ったり、置く位置を工夫したりすることで、共振は抑制できます。
停電した場合に一切使えなくなることも注意が必要です。災害時などに備えて、カセットボンベ式のガスコンロを用意しておくと良いでしょう。
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