文部科学省は2020年10月16日、初等中等教育に関して教育データ標準の枠組みを提示し、学校教育における学びの基礎となる学習指導要領の各細目ごとにコードを割り振った小中学校と高等学校の「学習指導要領コード」を第1版として公表した(幼稚園と特別支援学校のコードは2020年12月に公表予定)。
教育に関するデータは多種多様で膨大な種類があり、これまで各自治体や学校など教育機関が利用する各種サービスや利用媒体に依存していて、サービス間や自治体間でのデータ互換性や相互運用性が低かった。GIGAスクール構想により整備が進む児童・生徒1人1台のコンピューター端末を学校教育の中で有意義に活用し、学びのデジタル化を進めるには、サービスを提供する事業者や使用者が使用するデータの種類や単位、技術的な規格を統一する教育データの標準化が不可欠だ。
データ標準化の枠組みについては、標準化するデータの性格、スケジュール、標準化するデータの内容、公表の方針などを決めた。対象は、膨大な教育データのうちデータの相互運用を図る観点から定義を統一する必要があるものとした。
教育データを大きく(1)個人などに属する「主体情報」(2)学習に関するさまざまな「内容情報」(3)児童・生徒の生活や学習、教職員の指導などの「活動情報」に分け、国際的な標準規格があるものに関しては、なるべく国際標準規格を活用する。それに加えて全国の学校で活用を推奨する公的な標準を、有識者の意見を踏まえて文部科学省標準として定める。関連業界ごとに定めた技術的な標準仕様は、文部科学省標準に反するものでなければ活用できるものとする。
内容情報のうち学習分野には「学習指導要領」が含まれる。全国の学校で学習内容の標準として学習指導要領が使用されていることから、学習データの起点として学習指導要領にコードを振る。
コード化の対象は、幼稚園・小中学校・高等学校・特別支援学校の全ての教育機関と全教科で、学習指導要領の全項目(総則、各教科、特別の教科道徳、総合的な学習の時間など)にコードを付与する。コードは全部で16桁になり、それぞれの桁に告示時期や学習種別、教科、分野・科目・分類などを割り振る。
例えば、小学校の学習指導要領の理科第6学年の「B生命・地球(3)生物と環境」で、「(ア)生物は、水及び空気を通して周囲の環境とかかわって生きていること」を学習するコードは「8260263231100000」になる。
学習指導要領にコードを振ることで、桁ごとに検索できるようになる。例えば、学びの全体像を把握したいときは第2桁「学校種別」でソートし、学校種別の学習指導要領を確認できる。その学年で何を学ぶかについては第2桁「学校種別」と第6桁「学年・段階」でソートすれば、その学年で学ぶ内容全体を確認できる。その教科で何を学ぶかは、第2桁「学校種別」、第3桁「教科」でソートし、必要に応じて第4桁「分野・科目・分類」を加えればよい。
学習指導要領がコード化されることで、学校では学年間・教科等間を見渡したカリキュラムマネジメントを推進できるようになる。教育委員会では、指導資料や副教材をデータベース化したり、教員研修の講座や研修履歴をデータベース化したりできる。教科書を発行する出版社や教材会社は、教科書や副教材、各種指導書のデータベース化ができるなどの効果がある。
今後、これまで学校現場で活用されてきた学校コードなどの統計に活用できるデータや学校健診情報に関するデータなどを2021年春頃に第2版として公表できるよう検討を進める。
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