東大生は「ドラゴン桜」に否定的? 底辺校からの逆転合格は不可能なのか – livedoor

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―[貧困東大生・布施川天馬]―

 現役東大生の布施川天馬と申します。学生生活の傍ら、ライターとして受験に関する情報発信などをしています。

◆『ドラゴン桜』に否定的な東大生たち

 みなさんは『ドラゴン桜』というマンガをご存じでしょうか? 『ドラゴン桜』は下克上東大受験をテーマとしたマンガで、2005年には阿部寛さんの主演で実写ドラマ化もされました。

 現在は続編となる『ドラゴン桜2』が連載中であり、こちらもまた阿部さんの主演で実写ドラマ化が決定しています。

 このマンガの面白いところは偏差値的に落ちこぼれな「勉強の弱者」たちが、人生の一発逆転を狙って東大受験を志すというところにあります。

 劇中で紹介されている勉強法やメンタル維持のメソッドなどは現実でも十分使えるような代物で、受験生時代、僕もこのマンガには非常に助けられました。

 しかし、当の東大生たちは実はこのマンガに対して否定的なのです。『ドラゴン桜』というマンガは東大生たちにまったく受け入れられていません。なぜなのでしょうか? 今回はその理由を考えていきたいと思います。

◆『ドラゴン桜』は非現実的なのか?

 なぜ東大生たちは『ドラゴン桜』に否定的なのか。それはひとえに彼らが『ドラゴン桜』的な逆転合格を不可能であると考えているからです。

 確かに偏差値でいえば40を割ってしまうような底辺高校から東大への一発逆転下克上受験ストーリーはセンセーショナルではあるものの、現実的には難しいといわざるをえません。

 ましてや、たった1年で東大と渡り合えるようなレベルに押し上げるのは無理であると信じているからこそ、彼らは『ドラゴン桜』をバカにします。

 これは彼らが身をもって東大受験を体験しているからこその感想です。彼ら自身、過酷な受験競争を勝ち抜いて東大に入ってきた猛者であるからこそ、「底辺から東大に合格するなんてことはありえない!」と決めつけてしまっています。

 しかし、本当にそうなのでしょうか? 東大に入るために必要なのは頑張った時間でもなく、頑張った量でもなく、「東大に入るのに必要なだけの知識と、それを使いこなすための経験」です。

 有名進学高出身の受験生たちはこの知識と経験が膨大であることは否めませんが、1年でこれを用意することは本当に不可能なのでしょうか?

◆「中学受験経験」がもたらすアドバンテージ

 僕はこれまで「東大受験は10歳から始まる」だとか「東大受験は課金ゲームである」だといろいろなことを言ってきましたが、それらの中心にはすべて「中学受験」という体験がありました。

 難関中学の受験勉強の中で数字や図形、言葉に対する感覚を身に着けることが「勉強のセンス」の正体であり、これが大学受験の場においても一定の価値を持っていると考えています。

 中学受験の問題には思考力を問うようなものが多いのですが、これは難関国公立大学の入試問題と共通する特徴です。そのため、中学受験の経験がそのまま大学受験になっても有利に働き、中学受験未経験者では爆発的な能力の向上は期待できないという指摘もあります。

 また、単純に中学受験の経験があるのとないのでは、中学入学時点での学力も相当違ってきます。事実上、東大受験は「(難関)中学受験の経験」はほぼ欠かせないものになっているのはこうした理由があるわけです。

◆アドバンテージはたしかに大きいが…

 実際、このような能力を高校生になってから鍛えることは難しいと思います。しかし、この能力は「あったほうが望ましい」であって、「ないと東大に合格することはできない」というものではありません。

 東大に入学してくるほとんどの学生は中学受験を経験していますが、しかし、少数ながら中学受験をせずに東大に入学してくるような学生たちもいます。

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