修学旅行はないけれど 励ましの大輪 打ち上げ – 中日新聞

基本問題


夜空に打ち上がる花火を見る生徒たち=小松市木場町の木場潟公園で

小松・芦城中3年にサプライズ花火

 小松市芦城中学校の三年生約百七十人が九月三十日夕、同市の木場潟公園で、サプライズの打ち上げ花火を観賞した。新型コロナウイルス禍で、修学旅行など中学校最後の思い出が次々に取りやめになった三年生を励まそうと、担任教諭らが準備。木場潟公園協会や地元の町内会も協力して粋な計らいが実現した。 (井上京佳)

 三年生はこの日、新型コロナ禍で中止になった五月の修学旅行の代替行事の校外学習として、県内各地を巡った。午前中は七尾市能登島曲町ののとじま水族館を見学し、午後には金沢市で金箔(きんぱく)の工芸体験などをした。同日午後六時ごろ、暗くなった小松市の木場潟公園中央園地に集まった。

 芝生広場に整列した生徒に「花火を上げます」と三年一組担任の泉栄之進教諭が発表すると、「えー」と驚きの声が上がった。続いて「好きな場所で見て」と伝えると、生徒は広場の思い思いの場所に座った。

 泉教諭の合図で、十秒前から声をそろえてカウントダウンをすると、計六十発の打ち上げ花火が四分間、夜空を彩った。生徒はカメラで写真を撮ったり、うっとりと花火を見上げたりしていた。全ての花火が終わると拍手が起こった。

 花火を企画したのは保健体育教師でもある泉教諭。「修学旅行や部活の大会中止など我慢をしながら前向きに学校生活を送っている三年生に、自分たちの年だけの特別な思い出を残してほしい」と狙いを語った。ほかの三年生の担任や藤田信宏校長らが協力。さらに木場潟公園協会や地元や町内会へも協力を求めた。

 吹奏楽部の中村優子さん(14)は「部の大会がなくなって、私たちは不利だなと思うこともあったけれど、特別な花火を用意してもらって感謝の気持ちでいっぱい」と感激していた。

Powered by the Echo RSS Plugin by CodeRevolution.