大谷選手も実践、目標は書いて明確に 教育現場が原点|NIKKEI – 日本経済新聞

基本問題

自分なりにがんばっているのだが、なかなか成果を出せない――。そんなビジネスパーソンの悩み解決にヒントを与えてくれるのが、今回紹介する『書いて鍛えて強くなる!原田式メンタル教育』だ。継続して努力するスキルを身につけるメソッドで、学校教育の現場から生まれた。モチベーションを高め、強みを伸ばす人材育成の手法として、最近ではプロスポーツ選手の競技力向上やビジネスパーソン向けの教育研修にも採用されている。

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原田隆史氏

著者の原田隆史氏は、中学教師として20年のキャリアがあります。大阪市内の公立中学校で保健体育、生徒指導に従事しながら、陸上部の指導にも力を入れてきました。問題を抱える教育現場を次々と立て直して「生活指導の神様」と呼ばれたこともあります。このときの指導経験から独自の人材教育手法「原田式」を確立したのです。

大阪市教職員を退職した後は、大学講師を経て起業。人材育成の分野で活動しています。これまで約500社、9万2000人のビジネスパーソンを指導してきました。著書に『カリスマ体育教師の常勝教育』『大人が変わる生活指導』『目標達成ノート』などがあります。

普通の子が一番になれる

2019年、メジャーリーガー大谷翔平選手の「成功の秘密」を探るため米国のメディアが彼にゆかりのある日本人を取材しました。その一人に含まれていたのが「カリスマ体育教師」として知られた原田氏です。実は、大谷選手も実践した一人だったのです。スポーツ界でこの人材育成法は評価されており、サッカーJリーグ・浦和レッズのメンタル研修でも使われています。

原田式とは「自分でゴールを設定し、自らの人生を切り開くセルフマネジメントの技術」で、長年の教員生活を通じて編み出されたオリジナルメソッドです。大阪市内の荒れた中学校を建て直すために原田氏が「3年間で陸上部を日本一にする」と宣言したことからストーリーは始まりました。他の学校に比べて、学業でもスポーツでも生活態度でも「やる気」や「真面目さ」に欠けている生徒たち――。彼らに達成感を持たせることを目標として、試行錯誤を重ねる中で生まれました。

驚くべきことですが、陸上競技に関して全く実績のない普通の学校、大阪市立松虫中学校の生徒が3年後、見事に日本一になります。そのプロセスを詳しく紹介しているのが第1章「普通の子が一番になる」です。メソッド誕生の経緯が、スリリングな小説のように伝わってきます。

原田式のベースは「書く」という行為です。モチベーションを維持するには「何のためにやるのか」を意識する必要があります。そのためには文字化して見える形にすることが有効だと、それまでの部活指導の経験から考えたのです。

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