自宅待機、分散登校… オミクロン猛威の今、学びの場どう守る? 新型コロナ・鹿児島 | 鹿児島のニュース – 南日本新聞

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自宅でオンライン授業を受ける生徒と同時に同じ問題を解く教室の生徒ら=1日、さつま町の宮之城中学校

 感染力の強い新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」が猛威を振るい、鹿児島県内の学校現場でも感染者が相次ぎ、綱渡りの運営を迫られている。多くの生徒を自宅待機させたり分散登校にしたり。子どもの学びを守ろうと、教師らは一段と頭を悩ませる。

 1月末の平日の午前9時。次々に感染者が出て、全校生徒の約9割、数百人の生徒が自宅待機となった県内の公立高校をのぞいた。

 ほとんどの教室の明かりは消えたまま。各学年の1、2クラスだけともる。「解いてみようか」。2年生の1教室に13人が集まり、倫理の演習問題に取り組む。男性教諭は「極力声を出さない授業にしているが、これで十分か」。

 同校では3学期に感染者が増え、3週間で20人超の陽性が確認された。1月中旬から2週間、受験生以外で登校に不安を抱える生徒は自宅学習とし、登校を希望する1、2年生も昼過ぎに下校する。

 休み時間でも職員室には数人しかいない。教科や学年ごとにシフト制を組み、必要最低限の職員が出勤。職員室以外の部屋にも分散しているからだ。

 「通学の混雑を避けるため学級を二つに分けようか」。分散登校を見据え話し込む教師ら。英語教諭は「学年末考査の出題範囲はどうすれば」と危機感を募らせる。2週間近く教科書を進められていないという。

 大学入試の手続きで来ていた3年生男子は「すぐそばまでコロナが来ている。学校や公共の自習施設には極力行かず、今日も手続きが終わればすぐ帰る」と不安げな表情を浮かべた。

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 さつま町の宮之城中学校(生徒498人)は1日、クラスの半分が1日置きに登校し、残りは自宅でリモート授業を受ける分散登校を始めた。高校入試を控える3年生も対象にした。「教科書を使った指導が終わっており、より安心できる環境で勉強してほしかった」と同校。通信環境がない生徒は学校の別室で受けられるようにした。

 「380ミリアンペアが流れているのが見えるかな?」。2年5組の理科の授業で、大浦夏樹教諭(46)はリモート授業の生徒18人によく見えるように、電流計をパソコンのカメラに近づけながら語り掛ける。教室では、生徒15人が実際に機器を使って同じ実験をしていた。

 大浦教諭はオンラインでの実演を終えると、目の前の生徒の支援に急いで回る。教える量は通常より減らした。「両方に対応するためには授業速度を遅くするしかないが、生徒に教えられないよりはいい」

 野添誠校長(59)は「昨年からリモートの準備を進めてきたのでスムーズに始められた。今後も積極的に活用し、学びの場を確保していきたい」と話した。

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