マスク姿でも「聞きやすい授業」 東京理科大で特別講座 – 教育新聞

花のつくりとはたらき

 マスク姿の授業やオンライン授業でも、児童生徒を引き付ける力を身に付けたい――。教職志望の学生を対象にしたユニークな特別講座が11月26日、東京理科大学で開催された。同学教育支援機構教職教育センターの井藤元准教授が主催し、フリーアナウンサーとして活躍する長﨑真友子さんをゲスト講師に招いた。コロナ禍で主流になったマスク姿やオンラインの授業に対応するためのパフォーマンス力を、教員の卵たちが磨いた。

 井藤准教授が開催する特別講座は、教職課程を履修する学生を対象に、教員にとって大切なファシリテーション能力や表現力を磨く狙いで構成。毎回、アナウンサーやお笑い芸人などをゲストに招き、バラエティーに富んだ手法で、教員を目指す学生の意欲を高めている。

学生にレクチャーする長﨑さん(写真中央)

 今回の講座では、表現のプロであるアナウンサーの長﨑さんが、授業実践で生かせる話し方やコミュニケーションの取り方をレクチャー。アナウンサーが大切にしていることについて、表現力やコミュニケーション力、積極性などを挙げた上で、「それらを支えているのが、自信。実は自信は、自分の力で簡単に生み出せる。それはお腹から声を出すこと」と話し、腹式呼吸の大切さについて説明した。

 発声や活舌の練習では、長﨑さんが日常的に取り入れている練習法に学生たちも挑戦。「あ、え、い、う、え、お、あ、お」とお腹の中心から力強く伸びる長﨑さんの声に、学生たちは驚いた様子で聞き入っていた。腹式呼吸を取り入れながら、マスクの中でもしっかりと口を開け、クリアに響く声を目指し、熱心に取り組む学生が目立った。また、間の取り方や声の強弱、高低をつけながら、特に伝えたいメッセージを強調したり、シーンに合わせて雰囲気を変えて話したりなどのテクニックも学んだ。

 さらに、オンライン上でのコミュニケーションについても、長﨑さんが実際にZoomの画面を使いながら丁寧に手ほどきした。カメラの位置の高さで印象が左右されることや、ジェスチャーを取り入れるとマイクオフでもコミュニケーションをとれることに触れると、オンライン授業の機会が増えている学生らは真剣にメモを取っていた。

 質疑応答では来年から中学校の教員として勤務する学生から、「緊張すると、話にまとまりがなくなってしまう」と相談が寄せられた。長﨑さんからは「お腹の力が自信になる。腹式呼吸を意識しながらゆっくりと話すことを意識すると、同時に頭を整理する余裕を生み出せる」とアドバイスがあった。

 講座後、学生の一人は「教育実習で実際に教壇に立った時、授業を時間内に終わらせることばかりに気がいって、早口になり心の余裕を持てないという反省があった。今回学んだことは、学校現場でも生かせそうだ。マスク姿で授業することやオンライン授業も経験すると思うが、このように充実した内容を学べたので生かしたい」と前向きに語った。

Powered by the Echo RSS Plugin by CodeRevolution.